- 名前
- 化庵
- 性別
- ♂
- 年齢
- 45歳
- 住所
- 千葉
- 自己紹介
- 日頃の疲れ、マッサージでほぐします。
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続・谷間論議
2006年07月15日 00:34
谷間を見る者は右脳人間だという説に関して、
納得のいかなかったK君と再度論議になった。
理知的な私は、昨日のような事態を避けるべく、まずこう提案した。
「君、まずは『谷間』という単語を言い換えないか。」
「と言いますと?」
「鈍い男だな。休憩室とは言え、周りに聞かれた時に困るだろう。
昨日のように。」
「あ、なるほど。では『半ボイン』ではどうでしょう。」
「半ボイン!?しょ、正気か君は!
聞かれて困るから言い換えるのに、ボイン!?ボインなの!?」
「主任、声が大きいですよ…冗談です。」
「そ、そうか。なら何にする。」
私は理知的だが、なにぶん左脳人間なので、発想力に欠ける。
こういった場面では、愚かだが右脳人間のK君に頼らざるを得ない。
「では『グランドキャニオン』ではどうですかね。」
「グランドキャニオン!?…なぜ?」
「いえ、なんとなくです。」
「なんとなくか…まあいいだろう。」
「いいのかよ…。」
「何か言ったか。」
「いえ、なんでもないです。」
「君は結局、グランドキャニオンを見るわけだな。」
「ええ、グランドキャニオンは見ます。綺麗ですから。
でもそれと右脳人間は関係ないですよ。」
「まだ言うのか。グランドキャニオンを見るということは、
物事を理屈で考えていない証拠だ。」
「なぜです?」
「グランドキャニオンを見たとしても、揉むことは出来ないだろう。」
「揉みますよ。」
「揉むのっ!?」
「声が大きいですよ。でもあれは揉むでしょう。」
「ぐ、グランドキャニオンは、お父ちゃんの為にあるんやないでぇ~。」
「何言ってるんです?」
「いや、すまない。取り乱してしまった。
私が言っているのは、電車の中で揉むかということだ。」
「あー。電車でグランドキャニオンは揉めませんね。」
「そうだろう。それどころか、全景すら拝めないはずだ。」
「拝めたらそれはそれでヒきますけどね。」
「揉めない、全景すら見えないものを見る意味があるのか。」
「綺麗なものは見たい。それでいいんじゃないですか?
僕は、『綺麗なものを見る』という論理的根拠に基づいて見てるんです。
それは左脳で処理していると言えるんじゃないでしょうか。」
仕事でもこんなに議論が白熱したことは無い。
「いくら綺麗でも、帰宅する頃には忘れてしまうじゃないか。」
「帰宅してから使おうという考えがそもそも間違ってませんか?」
「う…いや、グランドキャニオンは使わないと勿体無いだろう。
見るだけでは生殺しだ。」
「グランドキャニオンは見ることにこそ意味があるんですよ。
あの見事な溝とやわらかな曲線。」
「わ、私は見るだけでは嫌なんだっ!」
「それは単に主任の趣味の問題でしょう。
言動が既に合理的じゃないし、左脳人間とは思えませんよ。」
「左脳人間が必ずしも合理的とは限らないのだ。」
「それはこの議論の根本を否定してませんか?」
「だいたい君は何か色々と足りないぞ。」
「主任の知性ですか?」
「それも足りないが、君の私に対する敬いが足りないんだ!」
「仕事の上では尊敬してますが、今は別です。
グランドキャニオンを必ず揉みたいなんていう人を敬えません。」
「必ず揉みたいとは言っていない。
グランドキャニオンを使わずに眺める意味は無いと言っているんだ。」
「ですからそれは主任の趣味であって、
僕はグランドキャニオンをただ眺めるのも大歓迎ですよ。」
「だいたいグランドキャニオンを見えたままにしておく女性も駄目だ。
もっと惜しむべきだ。」
「いいじゃないですか。グランドキャニオンを見せてくれるなんて。
サービス精神ですよ。」
「どうせ見せるなら揉んでも文句を言わないで欲しい。」
「…ほんとに左脳人間なんですか?」
「とにかくグランドキャニオンは見るだけでは駄目なんだ。
チラリズムだか何だか知らないが、子供の発想だ。
大人にとっては揉んでこそのグランドキャニオンなのだ!」
そこまで言った時、後ろから女性社員に声をかけられた。
「グランドキャニオンの話ですか~?
あれは一度は見ておかないと嘘ですよね!」
我々は顔を見合わせてから、笑顔で答えた。
「そ…そうだよね~。」
今回は引き分けということにしておいてやろう。
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