六月の雨

六月の雨

今日
ぼくは出会った
六月の雨の中で

あの優しく微笑んだ
貴女の幻が
雨の糸に紡がれる

水の音に
昔の貴女の優しい声が
木霊のように響く

やがて
優しかった貴女の声や姿は
雨音の中で、嗚咽と変わり
限りない涙の糸を引く

貴女のすがる声を背に
振り向きもせず
遠く離れてしまったぼくを
貴女はどんな思いで見ていたろう

今日再び
ぼくはそんな昔の罪に出会った

思わず道に立ち止まり
貴女の姿を思い出していた
雨は無数の針となりぼくの心に
降りかかる

その痛みに耐えていると
やがて六月の雨の中に
貴女の声も姿も幻となっていく


今
ぼくは
六月の雨雲を突き抜け
青空の満ちた
天上の
貴女のいない世界に
棲んでいる


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果里　Karin ～ 時　Toki


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