秘め事あるいは資本主義

ペットショップでのヒメゴト


「をい、おやじ」

「らっしゃい」

「トカゲくれや」

「いません」

「いや、いるだろ、ほれそこ」

「これ、これは」

「とかげだろが」

「ヤモリ」

「とかげだろ、が」

「やもり」

「....ざけんなよ.....」

「ヤモリ」

「お？客にむかって、なんだおめ」

「うるせえ。かえれ」

「は？」

「,...うるせえ、か え れ と、申し上げ」

「あんだとゴラ」

「おまいは、ヤモリの生態とか」

「あ？！？」

「ヤモリの生態とか生育条件とか」

「あんだと？！？！」

「や、やもりはな、ヤモリはなあ...」

「さ っ さ と そのトカゲよこせヲラ！？！？」

「無理だ、到底、むり」

「あんだとてめえ？！？！？」

「...............................................」

「何とかいえごらあ！！？！」

「.........死んだらどうすんだよ.....」

「え？？」

「.........そいつが、死んだら、おまえ、どうすんのよ」

「や、その、....はあ？！？！金はらってトカゲ購入し」

「...おまえ、そいつを殺すぞ....」

「し、し、知るかよ？！そもそも、ほれ、6500円だろが？！」

「うん」

「もってんぞ、ほれ！見ろオヤジ！！」

「うん」

「これで俺は、そのトカゲをかお」

「ヤモリ」

「....なんでもいいよ？！？！そのヤモリだかを、俺の」

「金で、購入していただける、と」

「そーーだ！！なんか文句あっか？！」

「......................」

「.....な、なんだよ」

「....そいつ、ぜってえ、死ぬ.....」

「はあ？！？！？！な、だ、だから死のうがどうしようが俺が」

「おまえが、殺しちゃう」

「なんで、わかるんだよ！？、つうか、死のうがどうし」

「....どうしようがおまえの責任じゃないと」

「いや、その、あの、え？！」

「金はらってそいつを購入した」

「そ、そーだ！」

「んだからそいつが死んでも、責任など、とらない、と」

「.....そ、そ、そーだ！！何がわるいんよ！？」

「...そうですか。......」

「....や、なんかその、無論だな、その、.....」

「なに？」

「.....俺とかげとか、ダイ好きだか」

「やもり」

「な ん で も いいいだろが ！！？！」

「.....じゃ、6500円で」

「ほ？！？ なにいきなり」

「6500円」

「.....え、はい......」

「はい、まいどあり」

「お、おう、どうも。はい」

「....さようなら.....」

「え？」

「......今生の、見納めですな、ミヒャエルさま」

「ミヒャエルって、え？」

「おまえに関係ない、さっさとかえれ」

「お、おま、ほんっっっと最後の最後まで」

「ありがとやしたー」

「....死ぬほど不愉快なんだが......はい、んじゃ......」

「.........................................ちょとまて！！！！！」

「....いったい、何？？！？何なのおめえわ？！？！」

「いのち」

「は？？」

「いつくしみ」

「なんだよもおほんんっっっっとに！？！」

「愛」

「....もうなんか死ぬほどキモイ......」

「マゴコロ」

「.....うん、それで？」

「俺の、目を見ろ... ]

「.........あ、はい.....」

「じっと、見ろ」

「...はい」

...........................


The End