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『定家明月記私抄』その2

2009年04月23日 23:59

定家明月記私抄』のsmu抄です。

文治二年、西行六十九歳、定家は二十五歳、この年定家は〈中略)二見浦百首なるものを詠んでいる(中略)が、このときに勧進―――すなわちすすめられて百首歌を伊勢神宮の神に手向けた者は、定家、家隆、寂蓮、隆信、祐盛、公衡等のほか、伊勢在住の蓮位以下の四法師と度会某なる人などであるが、いずれも京、伊勢の錚々たるメンバーであり、西行という人物の、いわば動員力を如実に物語っているものである。

と同時に、伊勢神宮はそれまで神仏習合をきびしく拒絶し、僧徒の内外宮参詣をこれもきびしく拒否して来たものであったが、西行はその家集によって知られるように、それがあたかも何でもないようにして内外宮に参り、「さかきばに心をかけむゆふしでておもへば神もほとけなりけり」と詠んでいるのである。



このようなことを読むにつけ、西行が怪僧であるということが知れる。それが面白いと思うのである。いかにも自分が何も知らなかったかが、分かる。

格好をつけて言えば、知的好奇心を満足させてくれるということになる。

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