モノクローム

好きだった人がいる。

彼女が僕の前から姿を消してから、もう3年半くらい経つ。

居なくなってから、僕は彼女が好きだったんだと気づいた。


今日たまたまその人の名前をネットで検索してみた。

驚いたことに、昨年12月に実施されたある資格の国家試験合格者のなかに名前を連ねていた。
特徴のある珍しい名前と住んでいる地域から間違いなくその人だ。

僕の知っていた頃のその人は、その資格のジャンルに興味があるなんて話したこともなかったし、どちらかというと、自分は何をしたいのか見つけられないなんて話をよくしていた。

しかし彼女はこの3年半のあいだに自分のやりたいことを見つけ、難しい試験に向けて勉強し、その努力は見事に報われたってことだ。

すばらしい。彼女はすばらしく進歩している。



そして何も変化の無い僕は、彼女からすっかり取り残されてしまったような気分になり、気が遠くなるくらい悲しくなったんだ。


ああ。

明日の晩ごはんはなにを食べよう。