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2年程前に書いた詩

2008年06月19日 21:59

私は野の花・野の豚
 
 私は秋の冷たい風に吹かれてしおれ
 枯れて行くこともある
 はかない野の草

 でも寒い季節が去り
 春の日差しと温もりがこの地を訪れるとき
 またこの大地から
 小さな芽を出し
 傷つきやすいその姿で自らをあらわす
 野の草
 野の花

 その種として地にあるとき
 かすかな日差しやぬくもり
 太陽や星星の営みの、かすかな変化を
 その全身で受け止めることを通して
 広大な宇宙とつながり
 ひとつであることを自覚しながら
 壊れやすく傷つきやすい
 その生命の営みを
 生き尽くす
 野の草
 野の花

 私はそして
 豚小屋から逃げ出した
 野の豚
 
 寒さの増してゆく
 冷たい風が吹き始める季節に
 震えながら野を歩く
 生きるすべをあまり知らない野の豚
 
 生きる糧を求め
 社会という野原を歩き
 走りつづけ
 生きぬくということを学んでゆく野の豚
 
 山のくぼみの
 かぜのこない陽だまりに休み
 日の暖かさに涙する野の豚

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