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フクスケの死の瞬間

2008年06月11日 23:55

フクスケが死んだのは
5月20日の朝4時頃だった。
前夜、というかもう12時過ぎていたと思う、
フクスケは苦しそうにしてもいた、
でもひととき、静かになったからだったか、
明日のことも考えて私はベッドに入った。
そして3時間ほどして、
フクスケが繰り返し呼ぶようにないているのに目が覚めて、
フクスケを入れたゲージのところに行った。
フクスケはつらそうに、何か痛みを感じているかのように、
繰り返しないていた。
ゲージの扉を開け、
私はそんなフクスケに手を伸ばし、その身体をゆっつくりとさすったりした
しかしなき止むふうでもなかったので、
その日北海道に立たなければならないことを思いつつも、
もうこんな日が来ないかもしれない気もして、
隣の部屋のベッドに敷いた私の布団を、
フクスケのゲージの前に敷きなおし、
横になってゲージの扉を開けた
するとフクスケが私の布団の中に入りたいようなしぐさをしたので、
そうして私の体のそばに寄せて、フクスケのしたいような姿勢をさせて、
私はその身体をさすった
そうされつつも、フクスケはつらそうにないていた
でもすこしの間はあまり身体を動かしはしなかった
しかし又苦しさに身を震わすように起き上がり
寝返りを打ち、
また喉を詰まらせるように嘔吐の姿勢、声を出し、
僅かによだれのような液を出した
ふと、布団が汚れてしまうなーと思いつつ、
でもこんなとき布団の汚れることは気にしなくていいなーと思い直し
そんなフクスケの身体をさすり続けた
ひとしきりそんな苦しいしぐさをした後、
フクスケの身体に痙攣が走った
身体を思い切り伸ばすように、私のからだと平行に体と手を伸ばし
震えた
ああーフクスケは死ぬのだとそのとき感じた

フクスケは
自分の頭の上のほうに、
まっすぐにその手を伸ばし、
眼もまっすぐに頭の上のほうにむけ
なおも小さく震え続けた
そんな姿勢の中で次第に呼吸がちいさくなり、
ついには
静かになった

ああー、見事な死だった
それがフクスケの魂がその体から抜けていく瞬間だったのか
私は知らない
しかしその死の姿勢には
荘厳さがあった

ああ見事な死だったよ、フクスケ

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