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「どんどこももんちゃん」TOOL REMIX

2007年11月22日 23:36

「どんどこももんちゃん」TOOL REMIX

秋の暑気が、奇妙なほど長びいているあの時期。

俺は例によって、仕事場から30分かかる駅(最寄りではないが、一本で帰宅できるという理由で、つねにそこまで歩く)への家路をいそぐ。途中、遊水池の機能をはたすコンクリート敷きの広場があり、そこで夕刻のこの時期、老人やら子供が散歩などをたのしむ姿がよく見られるわけだ。

俺は、つまらぬ業務に疲弊し果て、横目でその広場を見ながらも、なにはともあれ足早に駅へと向かう。で、妙なモノを広場の隅に見つけて、早足を急遽停止するわけだ。

犬が。犬がそれこそ10匹以上、広場のかたすみに殺到して、なにか唯ならぬ雰囲気だ。やつら、妙に興奮していて、広場の隅の一点に殺到している。周囲を、なにかにあぶれた雰囲気の残りの犬がうろうろし、中にはわぉおおおおんと妙な咆え声をあげるのもいる。

なまぬるい、風が、ふきすさぶ。

俺は、なにかやばい臭気をかいだ気がして、首をかしげる。周囲には、おかしな程人気がない。もともと住宅地の周辺であり、商業地区と比較して人はすくない。が、この「もの静かさ」は、面妖な温風ともあいまって、包帯の下の糜爛連想するような、嫌な想像を無闇にかきたてる代物。

たちどまった俺。好奇心とも義務感ともつかぬ、実に奇妙な見えざる意思。そろりそろりと、犬どもに接近する。俺を見とがめ、歯をむき出して咆哮するのが出てきた。目が、異常な殺気と飢餓を暗示する。俺は、かまわず接近する。途中でひろいあげた、妙な形にまがった鉄棒を、ひきづりながら、がりがりがりがり.....音をたてつつ、そろりそろり。

一匹、大胆にも俺に躊躇なく接近し、牙をむき出し殺気もしるけく襲いかかる。

遠慮会釈なく、鉄棒を横殴り。

鈍い音が、犬の頭蓋骨の粉砕を暗示する。襲いかかった犬はドサリと砂袋の呈。ビックンビックンと痙攣し、粉砕された頭蓋骨頭皮をつきやぶって見る見る血溜まりを造成

目を見ひらき、犬どもに警告を発しながら、俺は犬のたかった地点へと歩をすすめた。俺を見つめる犬の群に、唇めくりあがらせ、合図。

- お仲間は、くたばったぞ。次はどいつだ....

理解のはやいのが、群からすうぅっとはなれて、俺から距離をとりはじめる。がうぅ、がうぅぅぅとうと唸り声をあげながら、ものわかりの悪いのも、件の地点からはなれはじめた。やつらの背後には、夕刻の薄暗闇につつまれる杜。

犬どもは、今や俺を遠巻きにながめる体制をとっている。そうして、俺の目のまえ、なにか原色の色とりどりの、居ぎたなくコンクリートの地面にうちひろがる、汁のたれる代物。ぬるい空気に、あの臭いを放出し、目のまえによこたわる。

よく見ると、それは毛布様の布をかけられた、血塗れの、なにかだ。

毛布の端から、ピンク色の、粉々になった肉片といった感じのものがのぞく

一瞬、あるコトが、フラッシュバック。俺にとっては、この状況が初めてではない事を、犬の群を見てしまったあの瞬間から、俺は自覚したのではなかったか。

それは、家族に関する記憶だった。俺が思い出してはならぬ、ある事件/事故を、俺自身がなぜか再度経験しているのだ。

毛布の下のものが、何であるのかを、俺は知っているのではないか?

なぜひざまづいて、からえずきをくりかえす?恐怖などあるものか。見ればよいではないか。どうせ動物の死骸かなにかだ。

見ろよ。はやく。

俺の足元によこたわる、けっこうな大きさの、肉片めいたモノ。生ぐさい臭気をただよわせ、そうして20匹におよぶ犬が環視する中、俺は、自分の嫌悪と恐怖と絶望に空前の憎悪をいだきながら、毛布をめくるのだ。

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