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ある日のスタンド・バイ・ミー

2026年03月03日 11:18

ある日のスタンド・バイ・ミー

3月31日をもちまして……”

通勤路沿いにあったバイク屋に閉店のお知らせが貼ってあった。
自分がまだオネェさんのビキニ姿で前かがみになるような年齢のころは
何十台も店先に並ぶ大きな店構えから、路地裏でディープな改造を施した
宝物のようなバイクガレージに置いてある個人店までアチコチにあった。
随分と減ったモンだと感じる。

そう言えばスキースノボの店も減った。大きな街には必ずヴィクトリア
アルペンがあった気がする。近場の元店舗はどちらも個室ビデオの店になっていた。
ちなみに個室ビデオって何するの?行ったことがないので謎のままである。

本屋も減ったなぁ。自分は”紙のページめくりたい派”なので書籍の購入に
躊躇いは無いのだけど、やはりスマホで見るほうが皆は楽なのであろう。
あぁそもそもテキスト写真で情報を得る、と言うのが非効率だと思われているのか。
そりゃ動画のほうが情報量は多いわよね。

シンナーで消えるらしいぞ』

そんな噂がまことしやかに流れてきた。

歌舞伎町で買えるって』
「え?大宮って聞いたぞ」

当時、ビニ本と言われたセクシー写真集のことだ。
消えるのは墨消し。女性の奥ゆかしい場所は
今では加工の跡を見つけるのも難しいくらいに自然にボカされているが
昔はベタッと黒く塗られているのだ。
それをシンナーバター、除光液などでそっと撫でると
墨だけが落ちて女性の奥ゆかしい場所が奥ゆかしくなくなる……と噂が流れた。

仲間内でも一足先に大人びた雰囲気をもった友人が手に入れた本。
バイト先のおっちゃんから時給4時間分で売ってもらった本だ。
仲間思いの友人は開封の儀を一人でこっそり行わず、4人ほど集めて皆で行う決断をした。
男の中の男だ、と思った。
4人が頭を寄せ合って生唾を飲みつつページを捲ると、どこかの倉庫のような場所で
妙に顔の白い女性セーラー服を着てボロボロのソファに座っていた。
やや荒っぽくページがめくられる。俺達はオパーイやオシーリを、なんだったら
その先を見に来たのだ。脱いでないページは興味がない!と言わんばかりに
友人はページをめくっていく。

オパーイが見えた
「ぉぉ」
思わず感嘆の声があがる。が、
それはクラス内のぽっちゃり男子のオパーイとの差はほぼ無かった。
オシーリも見える
モデルはやはり顔だけが妙に白く、無表情のままポーズを決めていた。
最初は隠し気味だったオパーイやオシーリもページが進むと
どんどん出し惜しみがなくなってくる。

そして残り数ページとなる頃、

「おぉぉぉ」

今日一番の声が上がった。
墨消しのページだ。
それはモデル女性太ももをあらわにし四つん這いでオシーリを
突き出すようなポーズを取っているページだった。
次のページでは大きく足を広げてしゃがんでいるローアングルもあった。
ベタッと真っ黒な墨で消されてはいるが向こう側には
見たことのない女性の奥がある姿に俺達は妄想とかなにやらを膨らませた。

「消えるかな?」

おっちゃんから購入した男前友人がそう呟く。

「除光液持ってきた」

仲間には男前が二人いたのだ。俺はそこまで頭が回らなかった自分を責めた。
そうかこの墨の向こうが見れるかもしれないのか。
無意識に気分が高揚した。
新しい世界の扉を開くとき、人は誰しも飛び立つ気持ちになるのだ。

「やってみるか」

意を決したように持ち主の男前友人が決断した。
用意された除光液は母親の化粧台から漁ったそうだ。

ティッシュに含ませてそっと擦ってみよう」
「ページ裏に手を当てないと次のページまで除光液が染み込むかも」
「綿棒の方が良くない?」
「換気しよう。ラリる」

一致団結し俺達は一つの大きな目標に向かった。
ティッシュに少量の除光液を染み込ませ、次ページに沁みぬように
手のひらにページを載せるような格好で持ち主が墨を拭ってみる方法となった。

キュ…
「全然、落ちる気配がないわ。結構しっかりしてる」

今度は少し多めに除光液を染み込ませ
ページに染み込ませるように何度か擦ってみる
男たちの視線は墨消し部分に熱く注がれる。

「あ、少し落ちたかも?」

ティッシュが少し黒ずんできた。
その結果に男たちが声を出さずに湧き上がる。
除光液の刺激臭も気にせず何度も追加塗布し擦ってみる。
まるで摩擦熱に呼応するように集まる視線も温度が上がってくる。

「薄くなっている気がする」

確かに視線の先の墨は白みを帯びてきた。
こころなしか落ちた塗料ポロポロと浮いてきているようだ。

「あ!!!」

友人の声に凝視する視線が集まる。
ついに肌色が現れた。
誰も見たことがないシャングリラが、桃源郷が、見えた。
うっすらとした筋まで見え、これが噂の渓谷かと色めき立つ。

しかし友人の声は歓喜のそれでは無かった。

「穴あいた」

うっすらと見えた筋は男前友人の左手運命線だった。

このウラログへのコメント

  • maico 2026年03月03日 18:12

    あらら、除光液で薄くなってしまいには、穴ですか
    まさに、少年のワクワクが詰まった瞬間でしたね

    新宿のシンナー(笑)

  • JIN五郎 2026年03月03日 18:22

    > maicoさん
    そりゃ紙を濡らして擦れば…ですよね 笑
    今と違って本当に女性の痴態を見るのは難しかった時代でしたねぇ
    その分、夢やら妄想やらを膨らませた時代でもあります。
    楽しかったのは確か♪

  • 咲愛 2026年03月05日 03:10

    こんばんは(*^-^*)
    ああ、確かに昔はスキー・スノボの店結構ありましたよね(*^-^*)
    除光液使ったら穴が開いちゃうんじゃないかな‥と予想してました( *´艸`)

  • JIN五郎 2026年03月05日 08:08

    > 咲愛さん
    神田にも行きましたよ!夏のうちから新作モデルを見に!
    大人になれば印刷後に上塗り消す理由ないでしょ、とわかるのですが
    当時の少年たちは無垢に信じていたんですねぇ笑
    純粋さがアホで美しい

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