支度

女性の身体を包むものは
美しいものでなくてはならない

女性に悦びや苦痛を与える道具は
下品で加虐的でありつつ
何より優しくなくてはならない


そして男も
誰よりも貪欲かつ官能的でいて
優しく、美しくなければならない


だから
会う日が決まると
逸る気持ちを押し殺しつつ支度を行う


新たに仕入れた道具を
魂を吹き込むように手入れする


顔を合わせてからホテルに着くまでに
直に履いたパンストに染みを作るため
ローターのスイッチを入れ
挙動を確かめる


大切な秘部とアナルを
傷つけることなく徹底的に虐めたいから
ディルドの隅々まで除菌をする


すでに張り裂けそうなクリトリスを
吸い上げ、肥大化したのを
少しでも奥まで咥えたいから
クリトリスキャップのバリをチェックし
磨き上げる


貴女の下品極まりない姿を
見たいと思った時にすぐ被せられるように
全頭マスクのファスナーをチェックする


貴女の体液でこの姿が
ぐちゃぐちゃになっていくのを
見届けてほしいから
しっかり髪を切り、肌のケアを行い
少しでも紳士であろうと身支度をする


何度も見た時刻表を
また見直し
バスに乗り込む時の胸の高鳴りを
想像して楽しむ


遠く離れたところで
貴女も同じように
髪を整え、服や靴を選び

まんこの濡れ具合や
肛門の締まり具合を確かめている
なんて思うと胸が熱くなる


思いを馳せる時間に対して
貪り合える時間なんて僅かなもの


少しでもその刹那を
深く濃密に感じたいが為に
過剰な程に支度に費やす

それもまた遠距離でしか味わえない悦びよね