- 名前
- 心太
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- 年齢
- 54歳
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- 神奈川
- 自己紹介
- 普段は真面目だけど実はH、要はむっつりってことですねw 固い仕事をしているので、普段...
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【お題日記】[ひな祭り][友達][内緒]を使って投稿
2014年03月03日 01:10
あれは、もう20年の前のひな祭りの日のこと。今でも鮮明に覚えている。あの子が去っていく最後の表情…悲しさや寂しさ、決意…いろいろな心情が入り混じっていた、あのせつない表情を。
半同棲していたあの子が突然「東京に行く」と言い出したのは、もう年度が終わろうと言う2月の半ば。来年は1年間フリーターだなどと言っていたのに、一念発起しようというのか。俺は驚いた。理由を聞いても「内緒」としか言わない。それじゃあ応援できない、などと食い下がっても、頑として口を割らない。そんなに決意が固いのなら、俺のことなんて気にしないで勝手にすりゃいい、と最悪の雰囲気に。
いつ出発するのか気が気でない日が続いた。今日行ってしまうのでは…もしかしたら俺がいない間に…など、悶々とする毎日。
そして、その日はやってきた。「明日の朝、行くから。」と、ついに言われた。「そうか。」とだけ答えるのが精一杯の俺。本当はもっとたくさん声をかけてやりたかったが…あの時の俺にはできなかった。
最後の夜…布団を並べ、寝ようとしたが…眠れなかった。それはあの子も同じだったと思う。
どんな顔をしているのか見たくなり、自然とあの子の方へ寝がえりを打ったが…そのタイミングがぴったり一緒で、お互い向き合う形になった…二人で大笑い。そのまま泣きながらのセックス…あんなに一晩でたくさんのキスをしてたくさん手をつないだのは、後にも先にもあの晩だけ。いやらしさはほとんどない、でもとても温かいセックスだった気がする。さすがに疲れてこれ以上動けなくなって…そのまま抱きしめ合って死んだように朝まで眠った。
朝…すっきりした顔のあの子。きっと、俺も同じような表情だったのだと思う。
「じゃあ、行くよ。」「ああ。」「これで…もう、友達だね。」「ああ。そうだな。」なんて短い会話。
「送るよ。」「ううん。いい、ここで。」「そっか。」わかる。送ってもらったら…戻りたくなってしまうから。
「じゃあ。」…固く握手を交わした。本当は抱きしめたかったが…やめた。離したくなくなりそうだから。
そして、あの時の「内緒」は、今もまだなぞのまま。もちろん、今でも「友達」のまま。
毎年、ひな祭りが来ると思い出す。
あのせつなかった表情を、今年もまた一人でかみしめている。
※この物語はフィクションです。
お題にウラログっぽい言葉が入っていないので、セックスシーンが非常に強引にねじ込んでありますがご容赦を(笑)
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