夜明け前 2

ようやく夜が明けかかり､周りが見えてきた､住んでた部屋は屋根瓦が全て落ち､壁のﾓﾙﾀﾙが剥がれて下地が剥き出しになっていた､部屋のなかを見渡せばTVはこたつに乗り掛かり､水屋と冷蔵庫は倒れていた､当然食器は割れていた､でも偶然に懐中電灯は落ちたときにｽｲｯﾁが入りすぐに見つけることが出来た､明かりを着けて周りを見渡せばあんまり被害は無いように見えたが自分の周りだけだった､長田や東灘の惨状はその時点では知らなかった､情報は携帯ﾗｼﾞｵが電池切れでならなかった､夜明けと共に職場が気になり嫁を実家にやらせて俺は歩いて二十分の道を急いだ､職場に着いた俺は安心した､あの地震にﾋﾞｸともしないで建っていた､来る道でﾋﾞﾙの上に有った看板は途中の電線に引っ掛かり危ない状況だった､また古いﾊﾟﾁﾝｺ屋さんは倒れかかりｱｹｰﾄﾞに持たれていた､さて職場にはいる通用口はﾌﾞﾛｯｸ塀がﾌﾟﾛﾊﾟﾝﾎﾞﾝﾍﾞを下敷にして倒れその上を恐る恐る歩き入り口の戸を開けて二階へと行くと皆が集まりｽﾄｰﾌﾞにあたっていた､無事を確認して嫁が待つ実家へと急いだ､実家に行くとなんと建物が建ったまま土台を軸に回転していた､二階へ上がるときには気付かなかったが畳を踏むとその部分だけがへこんだ､きっと床が抜けていたと思う､ここでお互いが住むところを考えた､俺ら夫婦は会社の寮へ､おや夫婦は学校へと避難した