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官能小説・・初夜の海

2011年03月28日 11:18

月猫さんにプレゼント

宮島健夫 初夜の海 その一

これが官能小説と言えるかかどうか分からないけど私の脳が感化されたのは事実。

手の込んだ官能と言えるのではないか。その一部を紹介する。

場面は処女明子と中年男諒とが初めて交わる瞬間、既に二回失敗し、三度目のトライ



三度、さっきの位置についた。明子の胸は大きく上下し、呼吸は押さえられて震えている。諒は位置を確かめ角度を考え、手に力を込め、一気に腰を進めた。

明子は声を出し、身をよじろうとした。もがき、あごを出し、胸をそらせた。動くのを、諒は許さず、さらに進んだ。

壁を感じる。強引に進む。諒は火を感じた。明子はなおもうめいた。顔がゆがんだ。

いじらしさに襲われた諒は、そこで静止しようかと考えた。しかし、それはかえって苦痛を長引かせるだけであることを。諒は知っている。

諒は明子に乳房に胸を押し付け、強く抱きしめた。明子の体は痙攣し、かたくなり、また痙攣した。

火の密室の中を進んだ諒は、ようやく静止した。明子は激しい息遣いのなかで、それでも諒の背を抱きしめていた。

陵を無数の肉の襞が包み、圧迫を加えてきた。身動きもできない緊縛感である。

「痛かった?」   明子は無言でうなずく。

諒は二人が一体となっていることを告げた。明子はうなづき。唇を求めてきた。
 
中略

火口のあたりから諒のからだに、信号がひびいて来始めた。予期していた訴えであった。傷ついたピンクの花の傷口が呼吸しているのである。心臓の動きとまったく同じ動悸である。そのひびきこそが、処女であったことの必要でかつ十分な証明なのだ。栄子にも生じたし、他の処女にも生じた。どのように演技して痛がって見せた女であっても、このひびきが生じないかぎり、その女は芝居をしていると断言できる。

「いい気持ち」 意外なことを明子は言った。振るえ声で。

さらに恍惚さをにじませた声で「いい気持ち」とつぶやいた。

「痛くない? もう」

「少しだけ。それよりも、この不思議な気持ち、すてきよ」

一体になってから10分ほど経った。
「まだつづいている?」
「ええ、永遠につづきそうよ」


諒は静かに腰を浮かした。
「ああ」
あごをねじるように明子は声を出し、眉をひそめ、諒の背を抱く手に力をこめた。

さらに諒は腰を浮かせる。
「お願い」 明子はあえいだ。
「じっとしていて」
「すこしだけ」諒はささやいた。「辛抱しなさい」


いたわりながら、なるべく刺激が少ないように考慮しながら、角度も一定にして、諒は動いた。
明子もうめき声をもらしつづける。

二分ほどで諒は休んだ。


やがて、諒は肘にさらに体重を預けて、腰を浮かせる。明子は低いうめきをもらしてついてこようとした。
諒は動きを早めた。

「ああ」
明子は首を左右にふる。
かまわず熱い壁を逆戻りし、反転して再び進んだ。
明子の動きは分裂し、内部で諒を吸い、熱く把握した。
とくに傷を諒に訴えつづけていた部分の締め付けは鋭く鮮烈であった。諒のそこが鳴る感じであった。

中略


諒はまた動きはじめる。明子のあえぎははげしくなり、額の汗は玉になった。

少しづつ加速し、動きの幅を広げる。熱い蜜のなかを諒は往復していた。

そしてはなびらの内側あたりのきわだった締め付けは、尚も諒を攻めつづけていた。

やがて静止し、明子に接吻した。
「目を開けて」
「かなり楽になった?」
「ええ」
「もうこうしているだけで苦しくない?」
「ええ」
「まだ感じはつづいている?」
「ええ。それに」 「なんとかなっちゃいたくなってきたの」


諒は最後の動きに入った。
痛みもなおも尾わ引いているにちがいない。もうそれはいっそう弱まって行くだけだとわかっているので気にしなかった。

それよりも明子の反応によって(ひょっとするとこの子は最初の今、ひとつの頂点を迎えることができるのではないか)

という希望が沸き、それに賭けたい気分になっていた。

つづく

このウラログへのコメント

  • 月猫 2011年03月28日 14:48

    すごい!わざわざ私の為に書き写して下さったんですか?
    ありがとうございます^^
    興味深く拝見しました

  • y・平野 2011年03月28日 17:57

    > 月猫さん
    お望みに叶ったかどうか・・・俗っぽいものよりもこちらの方が好みじやないかと思った次第。続きは明日、二回シリーズ。

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