彼と奥さんの部屋

休みを合わせて
一日ゴロゴロして過ごした

こんなに何もしなくてセックスばかりしていていいのだろうかと言い合いながら

彼のその質問の答えにあたしはキスで返したし
あたしの答えに彼はあたしを包み込むことで返した


彼の奥さんのいないあいだに留守宅に忍び込む
最初かれがそれを提案したときにあたしはかなり引いた

なんておそろしいこと

知らない人が自分の知らないときに自分の家に上がり込むのはイヤだし
彼女だって何らかの変化に気付くはずだ
それに彼のパーソナルなスペースに入ることにも躊躇した

だけど結局上がり込んでいる

彼の部屋には布団が一つだけ有ってその他のスペースは
書類やら
テレビやら
カタログやら
奥さんのバックやら
鏡台やら
いろんなものであふれていた

「一人暮らし・・・？」呟いたあたしに
「嫁の部屋は向こう」って彼は隣の部屋を指さす
「家庭内別居・・・？」
「いや、テレビこっちで二人で見たりするし・・。化粧は俺が寝ててもそこ座ってやってるよ」

一人暮らしの学生のように何もかもが堆く積まれた部屋
だけどあきらかに女のにおいのする部屋

彼は何度も愛してるって囁く
あたしはなんだか夢心地のままその言葉を聞くけれど
受け入れられてないのかも知れない