表と裏

ついさっきまでは明るく笑っていたのに


一人、帰宅途中の電車のなか


急に淋しくなって


虚しくなるのはなぜでしょう


思い出すのはいつも同じ事


一番最初から


一番最後まで


思い出すのはいつも思い出したくない事


そして顔を覆いたくなる


外は真っ暗


目の前の窓に映る自分の姿


どうしてそんな顔しているの？


睨んでみたけど


睨み返してくる


考えることはバカらしい


思い出したってどうしようもない


後悔したって消えることはない


何がどうしてどうなって


考えて答えが出るならとっくにそうしてる


満たされることなんてきっともう一生ない


でもそれでいい


目をそらしたいことも


忘れてしまいたいことも


何ひとつ欠けていても


きっと『私』じゃなかった








幸せとは何ですか？


と聞かれたら何て答えますか


私はきっと


『一人にならないこと』


と答えるでしょう


心が満たされなくても


幸せなのです








表にはそんな心の奥底の悲観的な感情なんて一切出しません


というか出ません


無理していつも明るく振舞っているわけでもありません


友達同士の会話もいつもバカ話ばっかりです


人間は多かれ少なかれ


別の意味で表と裏を持っているんでしょうか