揺れるコップ

キーを差し入れ廻しドアを開ける、
ムワッとする停滞している空気、
目立たぬように装飾されたパネルを開き窓をあらわにする、
ひろがる日常の営み、
オフィス、
雑居ビル、マンション、

振り返ると　バッグをテーブルに置き
ジャケットをハンガーに架けている姿、
「なんでまだ服を着ているんだ?、」
えっ?という表情が浮かんで消え、
下を向きゆっくりとボタンを外していく、
「目を見ながらだ、、何度言ったらわかるんだ?」
「、、」
微かに眉をゆがめるせつない表情
あらわれる白い肌　完熟した果実のような乳首、
不安げな素足、
愛おしさに笑みを浮かべながら顔を覗き込む、
「みだらな魅力ある身体、だな」
手を伸ばし乳首を捻る、
「クッ、」目を閉じ歯を食いしばる、
「いい子だ、」
背を向け
冷蔵庫の上に伏せてあるコップを二つ、
扉を開けてアルカリイオン飲料ボトルを、手にする
目をのぞき込み
「軽く足を広げて、、そう、、そうしたら　両手の掌を上に出せ、そう、
　もっとしっかり手を広げろ」
右の掌にコップを、左の掌にもコップを、
「真っ直ぐに立っていろ、いや、コップを握るな、指は広げたままだ」
不安定のコップが揺れる、
冷たいボトルのキャップを捻る、
トクトクトク、
右のコップ、左のコップ、ユラユラと表面が波を打つ、
空のボトルをテーブルに置き　
クローゼットに行きハンガーからスーツのジャケットをとり
それを少し広げて立っている足もとにバサッと広げる、
「絶対にこぼすな、オレが着て帰るモノだからな、」
右のコップ、左のコップへと視線が往復する、
胸が上下に動いている、
ゆっくりと指で耳の後ろを愛撫する、
すべらせて首筋、
耳元で、
「頑張れるな、いい子だ、
　ではコレも試してやろう・・」
そう囁き
ローターを取り出す・・