強い人気取る癖　がついたのは　みんなそうあなたの･

耳に残る放課後の音

校庭の運動部
廊下の吹奏楽部
音楽室のピアノ

あの人の息遣い

抱かれてはいけない相手なのは知っていた。左手にリングが光っていたのも、知っていた。

「このあいだの模試の応用がどうしても解けなくて･･･」

後ろ手に、気づかれないように内鍵をかけた。
いつもより、１つだけ多めに外したブラウスのボタン。悟られないように、首筋に少しだけ塗った甘いperfume
「あぁ、これは三平方の定理だから･･･」
色素の薄い、茶色の瞳が仔犬みたいできれいだ。唇は神経質そうだな･･･
みとれていると、肩に手を置かれた。
「三平方がわからないわけじゃないよな？この間の試験ではできていた。なにか、勉強に集中できない悩みでもあるのか？」

悩みの種が、言う言葉か。
でも、彼が倫理観念に欠けていて、教育に興味がないことも、あたしは見抜いていた。
誘うのは簡単だった。

一度だけの過ち。