またのあいだ

彼女は不自然な斜め前を見て、そわそわとして、ハンドバックを手に持ち替えて、だらんと目の前にたらした。品川から人がどっと乗ってきて、押された状態になったとき、間違いなく僕の股間には、
彼女のハンドバックを手にしたその手の辺りが当たる。僕も不自然に身体を斜めにして、ついでに大きくなりはじめたものの位置を、彼女の手を使って整えようと押し付けながら、直していった。
上から見下ろすと、サテン地のワンピースの胸元から下着が見えて彼女の首筋が少しだけ桜色に染まって行くのがわかる。僕の視線を受けて、僕の股間に添えた手の感触を味わって、彼女は、僕を今晩のおかずにするつもりなのかなあと考えてみた。手の甲だったそれが、指先になり、明らかに撫でて来てくれた。で、あればこそ、僕も右手を下げて左手につり革を持ち替えてみる。川崎までの一駅のハッピータイム。