☆　甘い誘惑・・・Ｎｅｗ　☆

☆…☆…☆…☆…☆　某月某日　☆…☆…☆…☆…☆

　晴香と出逢ってから四ヶ月程経った、ある日の出来事。

　俺はいつものように仕事を終えて彼女との待ち合わせ場所に

　向かって車を走らせていたのだった。

　・・・ふいに携帯電話が鳴った。

　俺はディスプレイにちらと視線を移す・・・・電話の相手は瞳だっ

　た。

　ハンズフリーにして電話に出た。

　『もしもし。』

　『もしもし、・・・瞳です。』

　『ああ、こんばんは。・・・久しぶりだね、元気してた？』

　『う、うん。・・・実は折り入って話しが有るんだけど・・・今夜

　　これから逢えない？』

　『えっ！・・・これから？うーん・・・少しだけ待ってくれるか

　　な？・・・折り返し連絡するから。』

　俺は車を一旦道路の脇に停車させてから少し考えた。

　・・・彼女との関係は続いてはいたが彼女の勤めていた店が移転し

　た為，前ほどは逢っていなかったのだ。

　俺は晴香に電話を掛けてキャンセルする事にした。


　☆…☆…☆…☆…☆　某BARのカウンター　☆…☆…☆…☆…☆

　俺は瞳との待ち合わせ場所であるとあるBARのカウンターで

　肩を並べて座っている。

　俺はふいに彼女に問いかけた。

　『どうしたの急に？・・・めずらしいよね？突然なんて。。。』

　『・・・う、うん。・・・実は主人の仕事の都合で転勤する事に

　　なったの。』

　俺はすぐに言葉が出なかったが、やっとの思いで

　『・・・いつ転勤なのかな？』

　『・・・二週間後なの。突然決まってしまって。。。』

　『・・・昨日の夜に主人に聞かされたばかりなんだけど

　　ね。。。』

　『うーん・・・そうなんだぁ。・・・・それじゃもう逢えないの

　　かな？』

　『・・・・うん、引越しの準備とかあるし逢うのは今夜が最後か

　　も。』

　・・・・・しばらく沈黙が続き、重い空気が流れていた。

　俺はバーテンにバーボンのお代わりを頼んだ。

　カウンターに運ばれたバーボンを一気に飲み干してから

　『・・・寂しいけど仕方ないね、瞳の事は忘れないよ。』

　彼女は悲しげな表情で

　『・・・うん。・・・私も決して忘れない。。。』

　俺はバーボンのお代わりを頼み、運ばれてきたグラスを彼女の

　グラスに近付けて軽く乾杯した。

　店を出た俺たちは酔い覚ましに近くの公園を散歩しながら

　楽しかった想い出話をしたのだった。

　・・・・どの位、時間が経過しただろう。

　・・・・そろそろお別れの時間がやってきたみたいだ。

　二人は無言でお互いを見つめ合い、自然に唇を重ねた。

　・・・・彼女の瞳から涙がこぼれ落ちた。

　・・・・突然の出逢いも有れば、突然の別れも有る。。。。。。

　『サヨナラ。。。』・・・・心の中で呟いた。

　　Kiss me_MV by sixpence non the richer
https://jp.youtube.com/watch?v=OzkBwGj0KiI