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駅で独居老人に優しくしながら突き放す

2023年11月30日 14:33

昨日夕方電車を待っていたらお買い物帰りの独居老人が話しかけてきた。

「◯◯駅行きの電車はこっち?」

「そうですよ」と返事をしたのだけど、彼女は反対側のホームへ。気になったので「そっちのホームにも来るけどこっちのほうが早いですよ」と伝えたら改めて寄ってきた。完全に僕を頼る感じで。僕の次に並んでいた女子高生が言わなくてもいいのに「入りますか?」と彼女に列を譲る。僕がしばらく彼女に付き合わなければならないのは確定だ。独居だから誰かと話したいのだろう。自分もそういう身になるかもしれないからと付き合ってあげようと思った。

先日ツイッターアイルランド独居老人パブに誘って一緒に飲むなんていう投稿を見たので、それも影響したのだろう。

話に付き合ってあげて、時々質問を入れてあげたり、冗談に繋がろうだろうことも言って楽しい雰囲気演出した。でもこっちの空気を読まないから一方的な身の上話やら買い物の内容やらが続く。

彼女リュックを担いで肩掛けカバンを3つかけて、旅行用の小さなアタッシュケースを引きずってお、それには別に2つカバンをぶら下げている。結構な老人なのに色気は失っていないみたいで少しおしゃれをしている。僕の中ではおしゃれをしたいという気持ちに対する可愛さと、格好の奇妙さと、面倒臭さと、面白さと色々複雑な気持ちがぐるぐるしている。

電車が来たとき、彼女は片方の腕が悪いと聞いていたので引きずっていたカバンを電車の中まで運んであげた。僕が4人がけシートの窓際に座ると、彼女はついてきて「お兄さんの隣でもいい?」と聞いてくる。断る理由もなく、彼女が座るのを促す。そうするとまた話が延々と続くんだ。

幸い向かいに別の人が座り込んできてその人との話になっていったので、これ幸いと僕はパソコンを出して仕事をしているふりをしていた。でも向かいの人も会話が嫌になって言って返事がだんだんそっけないものとなっていった。そんでもって彼女はまた別の人に話しかけたり黙り込んでいったさっきの人にちょっかいだしたり、止まらない。久しぶりのお出かけで、しかも近所の見守りをかいくぐって出てきたのでテンションが上がりっぱなしだったんだろう。

彼女には明かしてなかったけれど降りる駅が同じだからとうとう僕は「◯◯駅で降りたら階段でしょ?階段のとこ荷物運んであげるからちょっと静かにして。相手が話したくなくなってるとき話してもだめでしょ?」と言った。彼女はハッとした様子でしばらく黙った。ちょっとかわいそうになって僕は「楽しく話してるんだったらいいんだけどね」と付け加えた。

しばらく黙ってたあとカバンの中からお煎餅を一袋出して押し付けてくる。「もらいっぱなしじゃいけないからもらって」断っても断固として押し付けてくる。「ギブアンドテイク、ビジネスライク」。なにやらどこかで覚えた言葉が続く。「もらいたくってやってあげるんじゃないんだから」「そりゃわかっとるけど」そんなやり取りが続く。僕の心の中では「やってあげたという心のなかでの喜びがこれで半減するじゃないか。そいういう返そうという気持ち自体が自己満足なんだぞ。けどそういうこと言ってもわからんだろうな」という思考がめぐりつつ。

降りる際になって誘導し、ホームに降りたら僕だけさっさと彼女のカバンを持って改札まで行って、改札の駅員さんに預けてさっさと帰りました。

ほんとはもうちょっといろいろおもしろポイントがあるんだけど、ここでは割愛しとく。自分用メモとしては残しておくけどね。毎日つまんない通勤があるよりときどきこうしたことが起こるとアクセントになっていいよね。それにいろいろ考えさせられるし、あとからでも「あれで良かったのかな」って思わせられるし人生や生活の糧としてはいい出来事だったんじゃないかな。

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