さむいから

　涼しくなったので、部屋を冬っぽくしあげるための模様替えをした。私は、掃除なんかだいっ嫌いだが、模様替えは好き＾＾。なので、模様替えは大掃除もかねる大切なこと。

　というわけで、ふだん、触らない掛けっぱなしのカーテンをはずす。ひと夏超えると、白いカーテンはねずみ色になる。

　三箇所あるカーテンをはずしていっていたとき、なにか小さい黒茶色のものが私の目の前を横切った気がした。

　そのとき、私の脳裏には「ゴッキー」という単語が浮かんだけれど、見なかったことにしたので、その単語もすぐ打ち消された。

　そして、カーテンを洗濯機に入れようと持ち上げたとき、サワサワ！と、何かが私の手を横断した。

　　　　「ごっきーーーーーぃぃぃ」
　わたしは、叫んだ。叫べば助けてくれる彼氏が居れば叫ぶ価値もあったのだろうケド、我が家にそんなものは居ない。
　一人で叫んで、一人でゴッキー抹殺作業のため働かなければならない。
　
　そっと、カーテンを広げる。一枚ずつ、丁寧に。勢いよくする勇気はナイ。
　そのうち一枚をそっと持ち上げると、1センチほどの茶色いのが、白いカーテンを横切った。
「いやー！」
にしても、ゴッキーにしてはとろい。
「？」
　そっか。わたしには、思い当たる節がある。それは、私のペットにあげているご飯のコウロギさん。よく逃げ出すので、夏の間、ゴッキーほいほいにゴッキーよりたくさんのコウロギが入ってたのを思い出した。
　
　私は、コウロギが逃げ込んだらしいカーテンをよけ、それを捕まえた。そのまま、水槽にポイ。そして、私はもう一度叫ぶ羽目になった。水槽の中に入れたやつは、やっぱりゴッキーだったから。
　とろかったのは、さむかったせいだな