くろ助と事務長の話。①

おはよーです！！くろ助です。
９月も終わりましたね。１０月と言えば衣替えの時期ですが…もうすでに寒い！！
きっとこれはくろ助だけじゃないはず。
早めに暖かい服に替えて風邪引かないように気を付けたいです。

さてさて、全く裏が書けてませんが少しこちらでお話を。

くろ助が好きについて悩んだ話です。少しだけ…２、３回に分けて書こうと思います。
良かったら暇潰しにでもどうぞ。



くろ助:土日もたまに日直出勤してる。１人じゃ怖いからいつも事務長に『くろ助自信ないので一緒にいてください』と休ませず毎回助けてもらってるクズ。

事務長:くろ助の職場の事務長さん。４……何歳だっけ？とりあえずかなり年は離れてると思う。独身。細身で靴が尖ってる。

木村:隣の部署。分からない人は裏ログの気になるあの人の話に色々載ってますよ！


『告白の話』


９月１０日、くろ助が日直で会社に休日出勤した時のこと。

日直の慣れないくろ助。その日も事務長が心配して出勤してくれてた。

でも、こうやって事務長と仕事するのも最後。この人は今月で他の部署に異動してしまうからだ。

(今日で事務長との日直も最後かぁ…ちゃんと仕事覚えなきゃな)

物覚えの悪いくろ助はメモ帳に仕事内容を記入しながら１日が始まる。

見廻りをして、整頓して、来客者の対応して、電話の対応して(コミュニケーションが苦手なくろ助はこの仕事が一番びくびくしてます)…。

事務長「くろ助さん、日直これから１人で出来そう？」

くろ助「いやー…無理かもしれません。これは事務長がついてないと仕事になりませんよ」

事務長「それは困ったなぁ」

正直、電話番なので他の人は簡単な仕事と思われる業務なのだが…人見知りの激しいくろ助にはとても負担のかかる仕事だったりするのだ。

それでも時間は一刻一刻と過ぎていき、お昼を越えて午後も落ち着いたころ。

くろ助は手持ちぶさたなので以前受けた試験の自己採点と間違いの直しを行っていると事務長室から事務長が出てきた。

事務長「くろ助さん、今時間いい？」

くろ助「はい。落ち着いてるので大丈夫です。くろ助何かやらかしましたか？」

内心びくびく。
もしかして業務抜かした？なんか間違えてたのかな。怒られる？




事務長「実は俺、異動じゃなくて…会社自体辞めるんだ」


くろ助「……え？」


いきなりの内容に驚いた。
事務長はこの会社長いし、ずっと同じ系列のどこかにはいると思ってたからだ。

事務長「今回の異動の件も急だったんだけど、他の会社から事務長やってくれないかって誘いがあってね」

くろ助「そう…ですかぁ。えー残念です」

こんな平の職員にこんな話をして大丈夫なのだろうか。まだ公開されていない事だ。異動の件も実は掲示される前に事務長はくろ助に話してくれてた。

(この人喋りたがりなのかな…それともくろ助が人様にこういう噂的なことを話すことがないと思って話しかけてくるのかな…)

その事がいつも気になってあまり話を詳しく聞かないで事務長の話したいままにしておく。

事務長「だからくろ助さんとこうして仕事するのも本当最後なんだよね」

くろ助「そういう言い方ずるいし辛いんですけど」

あまり当たり障りのない会話を繋げていく。こういう話は好きじゃないのだ。今までいた人が居なくなるのは寂しい。くろ助は誰に対しても思ってしまう。

事務長「それでね、ずっと言いたかったんだけど」

くろ助「はいはい？」

事務長「くろ助さんのことが好きなんだ」

くろ助「へぇ……え？！」

聞き流すところだった。この人はなんと言った。
好き？
いやいや、なんで今言ってきた。
ここで電話とか来客者きたら大変だぞ。


来なかったけども。


事務長「今まで事務長って立場もあるし、贔屓とかいけないから黙ってたんだけど…最後だからちゃんと伝えときたいと思って」

くろ助「冗談ですか？どっきり？カメラどこですか？」

事務長「そんなのないからね」

テンパるくろ助。本当今なぜ言った。仕事終わってからでもいいでしょ。まだ一時間残ってるよ。それまでどんな気持ちで仕事してればいいの。

(……まさか、事務長がくろ助のこと好きだなんて…いや、でも事務長も40歳過ぎてて婚期逃しててもうこいつでもいいやって自暴自棄になってるのかもしれない)

無言のまま考え込むくろ助。
追い込むように次の仕事先の話を始める事務長。

事務長「＿＿＿＿ってことだからちゃんと仕事はするし困らせたりはしないよ」

くろ助「あ、あの…くろ助のどこが好きと思ったんですか？」

一番の疑問をぶつけてみた。だって好かれる要素が思い当たらない。
くろ助は女性らしくない子供っぽい性格だし可愛くないし綺麗でもないし、大人の人がそんな真剣に好きとか言うのは何かの間違えと思えるからだ。

事務長「全部だよ、くろ助さんの全部が好きなんだ」




全部とは……

①本当にくろ助のことが好き
②なんか答えるの面倒で全部って言った
③好きなところが咄嗟に思い浮かばなかった


(ど、どれだ？くろ助的に大穴は③なんだけど……とりあえず)


くろ助「そ、そうですかぁ…」

くらいしか答えられなかった。語彙力とコミュニケーション力は備わってないよ。どこでそれ売ってんだろ。
今買えるなら給料前借りで購入するんだけどな。

そんな話をしている間に４５分をまわり、最後の点検をする時間になってしまった。人と話してると時間って過ぎるの早いんだね。

事務長「見廻りいっといで？」

くろ助「あ、はい。いってきます」

事務長は話を引き摺ることなくくろ助の仕事を促した。
事務所を後にするくろ助。

１人で頭の中はぐるぐるフル回転。

事務長の退職と告白。

なんだこれ。

え？本当なにこれ？

思い返すと叫びたくなる。

好きってなんだ？

くろ助返事しなきゃいけないの？

どう答えればいいの？

そんな答えの見つからない自問自答を繰り返しながら点検はあっという間に終わってしまった。
事務長のいる所に帰らなくては。

ちょっとだけ、足取りが重たい。どんな顔して会えばいいのか分からない。

くろ助「て…点検おわりました。異常なかったです」

緊張して声が裏返りそう。ちゃんと喋れたかな…。
心配を他所に事務長はいつも通りで。

事務長「ありがとう。そういえば昨日名古屋で野球観戦してきてね。お土産買ってきたんだ。ついでにこれ、参考書。俺が買って渡すと絶対受かるってジンクスあるからあげるよ」

試験は終わっているのに参考書を貰う不思議なジンクス。補足すると、参考書が必要にならないって意味らしい。つまり合格するよってことで……。

(それお金の無駄遣いじゃない？貰うけども！)

思ったけど声に出さなかったくろ助は今日初めて大人の対応したなって思った。
参考書は語呂合わせとか記憶力のないくろ助も勉強に集中できそうなやつだった。落ちたら使わせて貰おうかな。

くろ助「わ、えっと、色々何から何までありがとうございます」

事務長「どういたしまして。さあ、時間だね。お疲れ様。ちゃんと事務所の鍵を返して帰ってね。明日も仕事あるしゆっくり休んで」

くろ助「は、はい。お疲れ様です」


あれ？すんなり。
話の続きとかいいのかな。
くろ助何も返事してないんだけど。
事務長はくろ助の答えいらないの？
え？これで終わり？？


パタンと部屋をしめて鍵を返しにいく。


実は冗談？夢？あ、夢かも。きっとそうだ。

でもお土産貰った…なんだったんだろ。

んん？告白で合ってたのかな？

んーー？？？さっぱり…。

とても悩める１日だった。




ついでに、事務長から貰ったお土産はプリンで、美味しく頂きました。





えんど。
ねくすと→『ラブレターの話』




おまけ。

LINEにて。
木村:日直お疲れ様！

くろ助:ありがと！今日は貢がれた。

木村:何貰ったの？

くろ助:事務長から参考書とプリン。厨房の西さん(料理長)からクレープ。お客さんから手裏剣とアクリルたわし貰った。

木村:餌付けされてない？

くろ助:本当にね。くろ助太るわー。手裏剣投げ合いっこする？

木村:しない。てか事務長参考書って。

くろ助:使わないジンクスらしいよ！あと告白された。

木村:………は？！いや、冗談でしょ。からかわれてるって。

くろ助:やっぱりそうかなぁ。

木村:年の差考えて。あの事務長がしかもくろ助さん好きになるとかないでしょ。

くろ助:ねぇねぇ、言い方がくろ助に失礼じゃないかな？


後日、木村さんが『くろ助さんを取られるかと思って失礼な言い方になっちゃった。まあくろ助さんは自分のものとか烏滸がましいこと思ってないけどね！だってやぎさんのだもん』とか弁解してきた。かわいい。


えんど。