- 名前
- タイガードッグ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 63歳
- 住所
- 兵庫
- 自己紹介
- 酒 と 自然 と “いい女” が好きな極貧自由人の大馬鹿者 毎日ビーグルと散歩して焚...
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獅子座1
2007年04月19日 10:57
川原に菜の花が咲き出している……暖かい日が続いているので例年より少し早いようだ。
春には一面見渡す限り菜の花に埋めつくされるはずだ。
家からわずか200誕らずの所にこの光景がある……清々しい。
幅は100値召蠅△襪川幅は20辰曚匹任△箸論邯兇伐論酩澆砲覆辰討い襦
この川原が大好きだ。
丸まった石ころだらけの川原を30分ほどゆっくり散歩したあと、水辺近くの大きくて枯れた流木に腰掛けて昼食にする。
炒めたキャベツたっぷりのホットドッグを柔らかめのバケット丸まる一本で作り、飲み物はペットボトルにワインを入れて持ってきていた。
連れてきていたビーグル犬が前足で催促するので5僂曚匹舛って与えると一口で平らげてしまった。よく喉を通るものだと感心したが、良くないと思いあとは少しずつ千切って与えていたら結局は半分ほど食べられてしまった。よく食べる奴だ。
“今夜は晩飯抜きだからな”
そう言い聞かせるとピンと立てたしっぽをますます嬉しそうに振っている。ワインも飲ませろと言っているようだ。片手にワインを貯めてやると美味しそうに舐めきってしまった。楽しくて嬉しくてしょうがないらしい。
……結局3杯も飲んでしまった
“もうないよ” と手を振ると一目散に水辺に走っていき川の水を飲んでいたが、近くから水鳥が飛び立つと自分も飛びそうな勢いで追いかけていった。見える範囲内でそう遠くまで行かない犬だから心配しないことにした。リードは付けたままにしてある。
ペットボトルから口のみでワインを楽しみ、早く来た春の景色をまぶしく感じながら頭を空っぽにする。こんな時間こそ必要なものなのだと実感する。
普段特別忙しい仕事をしているわけではないが仕事場に閉じこもることが多いのでこういう時間は大切だ。
菜の花の美しさは色の美しさ
姿形で昆虫を誘うのではなくクレヨンで描いたような鮮やかな黄色い花弁と清々しい透明な緑色、そして早春の爽やかな香り。
春を迎えるには人手に頼らずとも群生できる菜の花が相応しい。
そう思う
タバコをくわえて火を付けようとジャンパーのポケットに手を入れるとライターとマッチの感触があった。一瞬考えてからマッチを取り出した。
高校生の時のキャンプでインストラクターから、「キャンプやハイキングの時はライターもいいけどマッチも携帯するように」と教えられ、その理由は忘れてしまったが以来普段でもマッチを持つ癖だけが残っている。
ワインとタバコでしばらくぼんやりした時間を過ごしていると河川敷を犬連れの女性がゆっくりと近づいてきた。見たときから連れている犬が俺のビーグルだと気がついていたからずっと顔を向けていた。
エアージャケットを着ているからか一件大柄に見えるがジーンズの脚はスリムで綺麗に伸びている。ツバの長い焦げ茶色のキャップの後ろからポニーテールを出している。キャップに隠れて顔はよく解らないが知り合いではなさそうだった。
「こんにちは、このビーグルあなたのでしょ」
そばまで来て立ち止まり声をかけてきた。
彼女は持っていたリードを俺に渡すように差し出したがビーグルは彼女の足元に座り何かをねだるように見上げている。
「ありがとうございます。」俺は座ったままリードを受け取ったがビーグルは動かない。
「すっかりあなたが気に入ったみたいですね。めずらしい」
「さっきまで一緒に遊んでいたし……私に匂いがしているからだと思うわ。家にもビーグルがいるから。」
彼女はそう言いながらしゃがみ込み犬の背中をなで始めた。犬はポテンと横に寝ころび脚を上げて腹を見せて気持ちよさそうにしている。無警戒で服従のポーズだ。
「アルフ……来い」声をかけたが動こうとしない。
「アルフ、お前アルフって言うの。アルフは賢いね。」言いながら彼女の手は犬の胸から脇腹あたりをなでていた。アルフは気持ちよさそうに目を閉じてしまった。
「大きいけど何歳なの」
「5歳のオス。あっ…わかってる、よね」
彼女は小さく微笑んで
「家のはメスだし避妊手術していないから、だから匂いがしてるのね。この子も去勢していないのね。」
アルフは腹をなでられて恍惚としている。
「なんだか可哀想な気がして、……俺も同じ雄として。」
「私も雌としてアルフに気に入ってもらえて嬉しいわ。雄も雌もするべきかもしれないけど……でも難しいわね。ちゃんと飼える環境ならいいんじゃないかしら。……ねぇアルフ」
彼女はアルフを見つめたままそう言った。
「さてと」と言って俺はゆっくり立ち上がった。その気配でアルフも跳ね起きた。
「そろそろ帰ります。ありがとうございました。」
彼女はまだしゃがんだままアルフをかまっていたが、俺がリードでアルフに合図をおくると彼女も立ち上がり俺の持っていたワイン入りのペットボトルを見つめて
「それでかぁ」と小さくつぶやき一人で納得していたようだった。
俺は
「えっ」と言って彼女を見つめた。
やっと彼女の顔のすべてが見えた。キャップのツバの影の中に30歳前後の知性的な目が眩しそうに俺を見ていた。背は高い方なのに顔が小さく感じるので何となく少年のように思えた。
「さっきアルフに顔を舐められたの、その時少しお酒の匂いがしたから、おかしいなって。犬がお酒を飲むわけないのになぁって不思議に思ってたの。」
俺は苦笑いしながら、
「こいつは子犬の頃から酒好きで特にワインとビールが大好きなんだ」
「頼もしいわね。さすが男の子。でもあんまり飲ませない方がいいわよ、犬と人間は身体の構造も違うし体重も大きく違うんだからその辺は考慮して色々気をつけてあげるべきだわ。絶対に食べさしちゃ駄目なものもあるし、ね!アルフ あんまり飲んじゃ駄目だよ」
「そうだね、でも……」
一瞬俺は不愉快そうな顔をしてしまった。
彼女もすぐに、でも微笑みながら
「あっ、ごめんなさいね。でも気をつけてあげてね。酔っぱらい犬がうろうろしてたら……車も通るし……危ないから」何故かもう微笑んでいなかった。
俺はもう一度
「ありがとう」と言ってリードを引いた。そしてアルフに向かって
「さあ、帰るぞ」と言って土手の方へ歩き始めた。彼女もアルフと一緒に歩いてきている。彼女に
「ここへはよく来るの?」と聞いた。
彼女はアルフの方をを見たまま
「最近になって……朝の散歩に、ときどきかな。犬の散歩にね」
「そう、俺も近所だししょっちゅう来てるんだ。それじゃ……また」
彼女も
「じゃぁ、またね、アルフ君」そう言いながらアルフの顔を両手で挟むようになでてから、土手道をゆっくりと少し上向きかげんで背筋を伸ばした姿勢で歩いていった。しばらく見ていると20辰曚品發い討ら振り返り手を振ってすぐにまた歩き出した。
アルフは何度も追いかけようとしたが俺はリードを引っ張り歩き始めた。アルフもついてはくるが振り返り振り返りしながら彼女の後ろ姿を見ている、相当に未練があるようだ。
「お前も男だねぇ」と小さくアルフに言いそして
「また逢えるよ……たぶん」と付け足した。
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