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戦争、あまりにも有名な写真

2017年09月18日 10:25

戦争、あまりにも有名な写真

ジョー・オダネルが書き残した文章

焼き場に十歳くらいの少年がやってきた。

小さな体はやせ細り、ぼろぼろの服を着て裸足だった。
少年の背中には二歳にもならない幼い男の子がくくりつけられていた。
その子はまるで眠っているようで見たところ
体のどこにも火傷の跡は見当たらない。

少年は焼き場のふちまで進むとそこで立ち止まる。
わき上がる熱風にも動じない。

係員は背中の幼児を下ろし、足元の燃えさかる火の上に乗せた。

まもなく、脂の焼ける音がジュウと私の耳にも届く。
炎は勢いよく燃え上がり、立ちつくす少年の顔を赤く染めた。

気落ちしたかのように背が丸くなった少年はまたすぐに背筋を伸ばす。

私は彼から目をそらすことができなかった。
少年は気を付けの姿勢でじっと前を見続けた。
一度も焼かれる弟に目を落とすことはない。

軍人も顔負けの見事な直立不動の姿勢で彼は弟を見送ったのだ。

彼の肩を抱いてやりたかった。
しかし声をかけることもできないままただもう一度シャッターを切った。

急に彼は回れ右をすると
背筋をぴんと張りまっすぐ前を見て歩み去った。

一度もうしろを振り向かないまま。
係員によると少年の弟は夜の間に死んでしまったのだという。

その日の夕方、家にもどってズボンをぬぐと
まるで妖気が立ち登るように死臭があたりにただよった。
今日一日見た人々のことを思うと胸が痛んだ。

あの少年はどこへ行き、どうして生きていくのだろうか。

この少年が死んでしまった弟をつれて焼き場にやってきたとき、
私は初めて軍隊の影響がこんな幼い子供にまで及んでいることを知った。

アメリカの少年はとてもこんなことはできないだろう。
直立不動の姿勢で何の感情も見せず、涙も流さなかった。

そばに行ってなぐさめてやりたいと思ったが
それもできなかった。

もし私がそうすれば、
彼の苦痛と悲しみを必死でこらえている力をくずしてしまうだろう。
私はなす術もなく、立ちつくしていた。
引用:https://www.youtube.com/watch?v=S0xsMPGVFE0

このデジログへのコメント

  • mina.n 2017年09月18日 10:37

    これね。
    胸が痛くなります。

    戦争はこういう形でも、精神を破壊する。

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