- 名前
- ぱすかる
- 性別
- ♂
- 年齢
- 73歳
- 住所
- 福島
- 自己紹介
- 中身は40代。 気が弱く臆病だが、ココロは獰猛。
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ガンとは何か?
2016年02月17日 11:56
父と娘のがん問答 がんとは何か?
~プロローグ~
D:ところで、日本人のがんが増えてるよね?
今後は、二人に一人ががんになるとか?
なんだか、いやだね~
F:そうだな。
日本人は、
がんに怯えさせられているようだね。
がんイコール死の病、
不治の病と思われていたり、
がんは、
苦しんで旅立つ病気だとか、
がんは、
ものすごく痛いんだとか、
抗がん剤で、吐いたり、死ぬ思いをしたり、
髪の毛が抜けたり・・
D:そうそう、すごく暗くて
恐ろしいイメージがあるよ。
がんの宣告や余命宣告受けたら、
どうしよう?とか思っちゃうよね。
絶望したりすると思うような・・
ひどいよ。
F:がんは、
ある種の悪性の腫瘍なんだろうけど、
驚くべきことに、
悪性新生物なんて呼ばれ方もしていて、
これって、
悪意ミエミエだよな。
大衆に必要以上の恐怖を植え付けようとしている。
D:自分の身体に
新しい悪い生き物が芽生えるわけ?
それって、
リドリー・スコットの
「エイリアン」そのものじゃない?
F:権威ってやつは、
愚かな大衆を騙す時には、
手段を選ばないよね。
悪性新生物なる摩訶不思議な表現に
見事に大衆は、
怯えちゃうんだよね。
D:なるほど、じゃあ、
がんの正体ってズバリ何なの?
F:おう、単刀直入にきたな!
がんは、
ヒトの細胞質の解糖系が
異常な亢進をした状態の時に
発生する。
D:解糖系って何?
F:解糖系ってのは、
ヒトが生命を維持する時の
エンジンみたいなものと考えてくれ。
名前の通り、
糖を分解してエネルギーを
産生するエンジンだ。
D:ヒトの細胞の中に生命維持の為の
エンジンがあるんだ?
で、そのエンジンの燃料は糖なんだね?
F:ピンポーン!
さすが、俺の娘。
冴えてるな!
重要なのは、
解糖系は、ヒトの生命維持の
メイン・エンジンではないということだ。
D:じゃあ、メインエンジンは何?
F:ミトコンドリアだよ。
これが、
ヒトの生命維持のメイン・エンジンだよ。
ミトコンドリアは、
酸素と脂質を燃料に
持続可能で膨大なエネルギーを産み出すんだよ。
ただ、このエンジンの欠点は、
酸欠だと、お釈迦になってしまうことだ。
ヒトも簡単に酸欠になったら
窒息死するだろう?
あれは、
60兆個の細胞内のミトコンドリアが
ドミノのように
お釈迦になってしまうということなんだ。
D:なるほどね、
じゃあ、メインじゃない解糖系の欠点は何?
F:解糖系のエンジンは、
酸素を利用しないから、
産み出すエネルギーがすごく小さいんだよ。
ATP2分子しかつくれない。
ミトコンドリアは、
ATP130分子もつくるんだよ。
D:なんで解糖系はそんなにショボいの?
酸素を利用しないと、
やっぱり、駄目なんだね。
火なんかも酸素がないと燃えないもんね。
F:そんな理解でいいと思うよ。
解糖系は、太陽光が差し込まない、
そして酸素がない時代の
エネルギー産生装置で、
太古の古い古いエンジンなんだよ。
暗黒の無酸素の不完全燃焼みたいな
旧式のエンジンだな。
D:なんだか陰気くさいね。
ダークなエンジンなんだね。
F:そんなイメージでいいと思う。
一方、ミトコンドリアは、
太陽光が差し込んで、
シアノバクテリアが、
光合成をして、
酸素を産み出した時代に、
生まれた希望の星さ。
酸素と太陽光の申し子が
ミトコンドリアだよ。
いわば、
新しい時代の
ニュー・スーパー・エンジンだよ。
D:なんだか、解糖系って、
情けないね。
なんかネクラなキャラだね?
このネクラエンジン、
コイツ、ほんとに、必要あんの?
F:部分的に必要な場所がある。
D:どんなところ?
F:まず、重要なのが、
酸素を運ぶ仕事に
必要不可欠だ。
酸素を運ぶ細胞にミトコンドリアがあったら、
酸素を横取りして、
60兆個の細胞に酸素が届かない。
まさに、60兆個の細胞が酸欠で
お釈迦になるんだな。
D:酸素を運ぶってどんな細胞がやってるの?
F:赤血球だよ。
だいたい、安静時なら、
1時間で2gくらいブドウ糖を
消費している。
他には、
瞬発力が必要な筋肉(速筋)や
臓器の上皮細胞等の細胞分裂が
求められる細胞に解糖系は多いんだよ。
D:だから、
血液の中にブドウ糖が必要なんだね。
だけど、よく考えてみると、
血糖値とかいうけど、
血糖値100くらいで充分なんでしょう?
だったら、50キロの体重の人なら、
4gくらいのブドウ糖が
血液中に溶けていたら
いい状態なんだから、
ごはん一膳くらい食べたら、
えらいことになっちゃうね?
F:その通りだな。
D:ごはん一膳で糖質が55gくらいでしょう?
血液中に4gしかないのに、
いきなり55gはきついよね?
F:するどいな!
その通りだよ。
でもって、追加インスリンが分泌されて、
過剰な血糖をなんとか処理してくれるんだよ。
D:そもそも、なんで、
高血糖になるといけないの?
赤血球がゆっくり消費してくれればいいじゃない。
F:それがうまくいかんのだよ。
血管が余剰分のブドウ糖に傷つけられるんだよ。
その結果、血管内皮が糖化を起こし、
動脈硬化になるんだよ。
D:動脈硬化って
脳卒中や心筋梗塞の原因になるんだよね?
あと失明や、
壊疽や、
腎不全による透析なんかもそうだよね?
F:詳しいなあ!
その通りだよ。
血管は命の泉の血液の配管だよ。
それが傷ついたり、
破損したり、
穴があいたり、
詰まったりしたらどうよ?
ヤバイんじゃない?
それが、心臓の冠動脈ならどうよ?
脳の血管ならどうよ?
ぞーっとするだろう?
D:なるほど、血管の損傷やつまりは、
死に直結するもんね。
F:そう、血管の損傷は、
生命維持に直結するんだよな。
インスリン追加分泌は、
だから必至こいて、
溢れるブドウ糖を血管内(血液中)から
追い出そうとするんだよ。
D:やっとわかった。
なんで、糖質くったらいけないのか?
なんで、血糖値の上昇がいけないのか?
F:さすが俺の娘だな!
だけど、これからが、
恐怖のがん物語の始まりだ。
しっかり学んで、
みんなに知らせてくれよ!
D:おとン!
まかしておくれ!
F:さて、糖質食って、
血糖値が上昇したら、
追加インスリンが分泌される。
追加インスリンの仕事は、
血中のブドウ糖をどんな方法を
使ってもいいから処分することなんだよね。
ふつうは筋肉細胞にブドウ糖を
取り込んだりするんだけど、
間に合わないんだよ。
多すぎるし、
筋肉はもう満杯なわけ、
だからブドウ糖を中性脂肪に変換して
貯蔵する(肥満)。
だけど、
これでも、間に合わないから、
最後の手段で、
臓器の上皮細胞の解糖系で、
ブドウ糖を取り込んでもらって、
必要もないのに、
解糖系エンジンを稼働させるんだよ。
これが、毎日、365日、10年単位で
続くと、解糖系のエンジンが覚醒して、
異常なフル稼働を行うんだよね。
これを嫌気的解糖作用の亢進とか、
言うんだけど、
これが、がんなんだよ。
D:なるほど、
ダークな旧式のポンコツ・エンジンが、
大量のブドウ糖で覚醒するんだね。
怖いなあ~
F:確かに、そうかもしれないけど、
ヒトの身体にはブドウ糖はひじょうに有害だから、
ほんの少しの量(血中なら4g程度)しか、
体内に貯蔵できないんだよね。
筋肉や肝臓にも糖は備蓄されているけど、
ブドウ糖ではなくグリコーゲンという形で
備蓄しているんだよ。
だから、がん細胞は、
体内に蔓延するブドウ糖の量を
少しでも減らそうとする、
体内の防衛システムなんだよね。
その命令は、
追加インスリンが出しているわけなんだけどな。
その追加インスリンを分泌させているのは、
あなたが、摂取する必要のない糖質を
摂取しているからなんだけどな。
D:なるほど、糖質を食わないで、
追加インスリンの分泌をさせなければ、
臓器の上皮細胞の解糖系は、
休眠していて、
癌細胞になることはないんだね。
F:その通り、
さすが我が娘、
のみこみが早い。
これからが楽しみだな。
じゃあ、続きは明日やろう。
復習しておいてね。
(つづく)
~補足~
赤血球には核もミトコンドリアもありません。
まさに、解糖系エンジンしかありませんので、
ブドウ糖しか燃料にできない例外的な細胞です。
by 荻原敦
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