満月

今夜は古から伝えられた月の美しい夜

何を想いましょうか

何を願いましょうか

大きく美しい月の前では
全てが矮小に卑屈に見えます

望まれてもいないのに

なぜ生きているのか

なぜ価値もないのに

息をしているのか

悩むこともあります

自分が何のために産まれたのか

生まれ出でて何を成せるのか

自分が無価値だと思いたくない

自分が無価値だと思われたくない

その為に必死になって

他人から必要とされる自分で有りたいと

貴方がいてくれて良かったと言われたくて

媚を売り

自分を偽る

そんな人間の努力など鼻で笑うように

今夜の月は綺麗です

銀色の孤高

他者を寄せ付けない吸引力

月と自分を比べることは無意味だと解っていても

月に比べたら虫の息のような

一瞬の光陰だとしても

諦めたくない

生き汚いと言われても

生きていたい

何千年も何億という人が月を見上げたでしょう

月にとってはその他大勢
私にとっては

他だ一人の月

今夜は貴方を愛して眠りましょう

降り注ぐ月光という貴方の存在を感じながら

貴方を愛するその他大勢として