オリジナリティ

昨年あたりから、「YouTubeをダウンロードすると逮捕される」とか、
著作権強化のニュースがうるさいことですが、
こと、建築デザインの分野に関しては、
著作権騒動などが一般のニュースになることは、まず、ありません。
もちろん、建築物にも著作権は存在しますので、どっかの建築物を真似して訴えられたら、
業界の話題ぐらいにはなることでしょう。

しかし、建築デザイン界では、誰一人、著作権のことなど気にしておりません。
それは、建築デザインを志す者の、身に染み付いた、『オリジナリティ』追求の心が、
デザイン上の一切の物真似を否定しているからです。
他人の建築を真似しようものなら、同僚、業界から、今後一切、まともな扱いを受けることはないということを、全員が承知しておるんです<(_ _)>

ま、ハウスメーカーは、また別で、こちらは、建築設計とは言いません。
こっちゃには、「流行」というのがありましてな、
たいていのメーカーが、毎年、同じデザインを真似しあっております

西新宿に、最も素人受けする、裾広がりの超高層ビルがあります。
損○ビルというやつでんな。
これが竣工した時、海外の○○ビルとおんなじやないか～、といって、非難の集中砲火を浴びました。
「発注者が、海外視察をした時、あのビルを気にいって、あれと同じにしてくれと言われて、それに従っただけや」と、設計者が言い訳して、さらに、恥の上塗りをしてしまいました・・・o┤´Д｀├o

建築設計界では、例え施主の意向であろうと、使う人の身になって考えられてない建築は、まず、否定されます。
設計の前に、「まず、哲学ありき」、というのが、共通認識となっているからです。
少なくとも、デザイン以前に、使用者の求める「機能」を満足させられない建築は、一切、評価を得られません。
いくら美しくても、安全性、機能性に劣る建築は価値ゼロなのです(o_ _)ﾉ彡☆

この辺が、発注者の言うことなら何でも聞く、WEBデザイナーや、インダストリアルデザイナー、あるいは、流行歌の作詞家、作曲家などとは根本的に異なります。
歴史の浅い業界は、まだ、そういう哲学を築くまでには、成長していないということなのでしょう。
日本では、建築家と呼ばれる人は滅多におりませんが、
海外では、建築家と言えば、医者、弁護士と並び称されるプロフェッショナルな存在。
建築家の養成大学では、最初に、「哲学」をやらされるくらいのもの・・・。

閑話休題。
この３つのプロフェッショナルが集まって、どの職種が一番創造性が高いかという議論をしたそうな。
医者：神は最初にアダムを創ったんやから、医者が根本の創造をしたに決まっとる。
建築家：いや、最初の一週間で、混沌から大地を作ったのは建築家でっせ。。
弁護士：その混沌は、誰が創ったと思うてんねん(o_ _)ﾉ彡☆
おそまつm(｡_｡)m

さて、まだ、新人のころの話ですが、
さる著名な作家の事務所とジョイントベンチャーの仕事をしたことがあります。
就職先の小さな事務所では、ロクな教育もでけんから、
てなことで、奉公に出されたわけですわ。
今をときめく安藤○雄もアルバイトに通っていた事務所ですが、新人は私一人。

ある時、工場の一つの立面のデザインを仰せつかりました。
デザインと言っても、横幅50ｍ、高さ約４mの外壁に、窓をひとつ付けるだけ。
外壁の素材は、既にALC版で決定済み。
要は、一つの窓の位置とサイズを決めるだけのこと・・・(-｡-)y-ﾟ
鉛筆転がしてでも、できるような課題ですわな。

ところが、所長も、安藤氏も、よっぽど暇だったのか、
図面を提出するたんびに、指導あれこれ。
この頃から、口の悪い安藤氏は、大嫌いになりました

指導といっても、「こうしたら、どう？」なんていう話ではない。
「なんで、こうしたの？」と、尋ねるだけ。
そうして、「なんや、思想が、はっきりせんね」、といって、赤鉛筆でバッテン＿|￣|○

当時は、CADなんて無い時代。
手書きの図面やから、アンドゥはでけへん。。。
赤鉛筆でバッテンつけられたら、一から描きなおさなならん・・・

それが、毎日、毎日。。。
結局、１枚の図面を書き上げるのに、１ヶ月ちょっと・・・
やっとれまへんで