五戒を破ると堕とされる地下８層の八大地獄

１・地獄の思想

古代インドの輪廻と死後審判の思想は、のちに仏教にも取り入れられ

「五戒」（殺人・盗み・不倫・嘘つき・飲酒）を破ると「地獄」へ送られると考えられました。

この地獄の観念が中国で冥界思想と結びつき、「閻魔大王」の審判思想が確率。

そして日本では黄泉の国と結びつき、「三途の川」や「賽の河原」の信仰が生まれるなど様々な

地獄観が誕生しました。

日本で最も影響の強かった地獄思想は、平安時代に日本で描かれた「八大地獄」です



２・八大地獄の構造


地獄は「須弥山」の地下深く、最上階の等活地獄から最下層の阿鼻地獄まで８つの層からできています。

広さはそれぞれ地球１２・５個分、さらに最下層はその６４倍です。

地獄には顔が牛や馬で体が人間の牛頭や馬頭という鬼が住んでいて、情け容赦なく罪人を苦しめます。

その苦しみは、下の層界に行くに従って激しくなり、刑期も５００年から何千億年と長くなります。

ただし地獄の１日はこの世の50年ととてつもない期間です。五戒を破られ方によりどの地獄に送られるかが

決められます。



◎地下１階　　等活地獄

生前に殺生をした人が堕ちる。罪人同士が殺し合い、地獄の鬼に鉄棒などで打たれて気を失う。だが
冷風を受けた罪人はすぐに蘇生し再び刑を受ける。


◎地下２階　黒縄地獄

生前に盗みをはたらいた人が堕ちる。鬼たちにノコギリや斧で体を切り刻まれる。涼風を受けると元の体に戻り、
延々と同じ刑が繰り返される。


◎地下３階　衆合地獄

殺人や盗み、淫乱の刑が加わった人が堕ちる。木の上にいる美男美女に誘われた罪人は木を登り始め、
鋭いカミソリの葉が罪人の体を切り裂く。


◎地下４階　叫喚地獄

上の３つの罪に加え飲酒の罪を犯した人が堕ちる。鬼たちに口を金バサミでこじ開けられ、酒の代わりに
灼熱の銅汁が流し込まれる。


◎地下５階　大叫喚地獄

上の四つの罪に加え嘘をついた罪人が堕ちる。熱い鉄の針で唇と舌を刺し通され暑い鉄バサミで舌を引っこ抜かれる。


◎地下６階　焦熱地獄

上の５つの罪に加え邪見の罪が加わった人が堕ちる。鬼に熱した鉄棒で打ち付けられ鉄串で体を突き通され
て地獄の業火であぶり焼きにされる。


◎地下７階　大焦熱地獄

これまでの罪に尼を犯した罪が加わった人が堕ちる。恐怖心を極限まで高められた罪人は、広大な火の海に
突き落とされる。


◎地下８階　阿鼻地獄

「五戎」をすべて破った極悪人が堕ちる。体長が数百キロある地獄の番犬や鬼、無数の鉄蛇・虫などから極限の苦しみを、間断なく与えられ続ける。


※参考文献

もう一度学びたい　ブッダの教え
田上太秀　監修
西東社発行