小説家の自殺について

太宰治や有島武夫などが有名ですが、彼らの自殺を単に“人としての弱さ”と捉える人が多いことに悲しみを覚えます。

確かに自殺は肯定されるべきではありません。
でも彼らほど自らの生に対し真摯に向かい合った人間がいるのでしょうか。

生の意味について考え始めると同時に生の苦しみも始まります。
生の意味を徹底的に考えていけば、この宇宙における気の遠くなるような年月の中での、自分という存在のちっぽけさを痛感させられます。
自殺とはその営みの極限なのかもしれません。

しかし、僕は自殺を肯定しません。
なぜなら、やはりそれは自分の生からの逃避であり、命に対して非礼な態度だと思うからです。

どんなにちっぽけな人間であろうと、生を授かった奇蹟とその美しさを忘れてはならないし、生の苦しみを乗り越えることが私たちの義務であると思います。

ただ、自殺した人間を批判することは出来ません。
もしも自分たちが彼らほど真っ向から生と向かい合った時、その残酷さに打ち勝つことが出来るでしょうか。

彼らを“弱い”と非難するのは、自分の生に対する無知の表れだと思います。
彼らをけなすのではなく、思いやって下さい。そこから生への尊厳が生まれ、自分自身をよりよく知るきっかけにもなるとでしょう。

誰もが一人一人の生を尊重する、幸せな世の中になることを願っています。