数ヶ月前(回想)

数ヶ月まえ…

偶然にも痴漢から守った彼女もまた、彼と同じ電車を利用して職場に向かっていた…

翌日、駅の反対側から改札に入った彼を見たときに、お礼を言わなきゃと思いながらも、
恥ずかしさから何も言わずに、２，３人間を空けて、彼を見ていた…
吊革を持つ彼の手…
その手は、力強さではなく、優しさを感じる手だと彼女は思っていた…

偶然にも、彼の降りる駅は同じと思っただけで、嬉しさがこみ上げてきた。
それは、初恋に似た想いだった…

毎朝、同じ電車に乗るうちに、彼女のほのかな恋心はつのっていった…

ある日の朝、駅の改札で彼をみて、勇気を振り絞って、お礼と挨拶を交わそうとした日に
彼の後ろを追いかける女性がいた…

かすかに聞こえた言葉は

「あなた、忘れ物」
「あー今日の資料忘れてた…」

そう、彼の妻であった…

彼女は、初恋の人に打ち明けられずに、振られた心境であった…

しかし、すぐにジェラシーを感じ、奪いたいという想いを電車で増幅していた…

そう思いながら、毎朝同じ電車に乗り…

眠れぬ夜を繰り返していた…


※日付が変わったら裏をupします(笑)