- 名前
- こーじろー
- 性別
- ♂
- 年齢
- 49歳
- 住所
- 埼玉
- 自己紹介
- 基本、色んなことに興味があるので、色々と話したりするのが好きです。 趣味多数 日記...
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黒田三郎
2011年09月07日 18:34
黒田三郎という詩人の詩です。
非常に胸に訴えるものがあります。
安易な恋愛の詩ではない、心の叫びとでもいいましょうか。
是非読んでみてください。
そこにひとつの席が
そこにひとつの席がある
僕の左側に
「お坐り」
いつでもそう言えるように
僕の左側に
いつも空いたままで
ひとつの席がある
恋人よ
霧の夜たった一度だけ
あなたがそこに坐ったことがある
あなたには父があり母があった
あなたにはあなたの属する教会があった
坐ったばかりのあなたを
この世の掟が何と無造作に引き立てて行ったことか
あなたはこの世で心やさしい娘であり
つつましい信徒でなければならなかった
恋人よ
どんなに多くの者であなたはなければならなかったろう
そのあなたが一夜
掟の網を小鳥のようにくぐり抜けて
僕の左側に坐りに来たのだった
一夜のうちに
僕の一生はすぎてしまったのであろうか
あぁ その夜以来
昼も夜も僕の左側にいつも空いたままで
ひとつの席がある
僕らは徒に同じ言葉をくりかえすのだ
「お坐り」
そこにひとつの席がある
(詩集『ひとりの女に』より)
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