うさぎはかわいい

今日もお昼寝うれしいな。まずは足をきれいキレイにして、後ろ足をペロペロ。前足もペロペロ。「これできれいになったぞ。」と耳垂れうさぎのラッキーは満足そうに、前足で土を掘るように、カリカリ音をさせて、ドタッっと横になる。どうして静かに寝ないのだろう。勢いをつけて、柔道の受け身の練習をしているように、勢いよく横たわる。ドテッ。
だんだん目が細くなって、笑っているように見えて、きゃわいい。少しだけ寝るともう起き上がって来る。「ラッキーちゃんお手。」
するわけがないが、鼻をすりよせてクンクンと鳴らす。さて、しゃべらないうさぎが、おしゃべりうさぎになると、どうなるのだろうね。お昼寝からめざめたラッキーはいつものように、狭い中で飛び回っていると、ギィーとドアが開いて行く、首を傾げて、考えても
「あれれ、外に出られるみたいだ。」とそっと、抜き足差し足。トンっと飛んで、着地成功。誰もいないけど、どこに行ったのだろう。大きなドアも開いている。あっちの部屋にいるのかな。「おーい誰かいるのかい。」
　「お母さんもお父さんもいない。」
そう言えばさっき、お母さんが「お留守番していてね。」って頭を撫ぜていたな。
「ヤッホーおいらの天下だ。探検だ。」
この部屋には入った事がないけれど、何があるのだろう？「この音だ。いつもうるさい音がして、耳をふさぎたくなる。お母さんがセンタクをしなければねって言って、少しするとこの音がするから、センタクって言うのかな。」
と言いながら周りをクンクン。
「誰もいないのに、音を出して生意気な奴。」
「何だこの線、こんな線。こうしてやる。ガリガリ。」バチって音がして、青い火花が散った。
ビリっとした。「わぁお～何だからだがしびれちゃったよ。」ブルブルとからだをふるわせた。「びっくりしたな。あれっ。音が止まった。やれやれやっと静かになったよ。」クンクン何だかこげた匂いがする。
「さて、次はお兄さんの部屋に行こう。」
いつも遊んでくれるから、匂いをつけるために、しっこかけちゃうんだ。そうするとお兄さん「ラッキー止めてくれよ。今きがえたばかりなんだから。」と言いながら、その辺の掃除を始める。終わった頃にもう一度しっこかけたら「ああ、もう勘弁してくれよ。」と
今度は抱き抱えられて、ケージの中に入れられる。でも叱らないやさしいお兄さんだから、
またしちゃうんだ。「ああラッキー止めてくれよ。」って困った顔がかわいいんだよ。
ぴょんこぴょんと歩きまわっていると、足で何か踏んだら、シューと音がして、何だか匂う。「わぁ何だろうこの匂い。鼻をつままなければ、たまらない。」とその部屋から逃げ出した。お兄さんが外に行くときにシューシューってしている。コウスイって言っていたあれか。大変な匂いがするんだな。とつぶやきながら、やっぱりここが一番落ち着くよ。と我が家に入って行った。
「やっぱりここが安全だ。さてひと眠りするかな。」と言いながら、爪でカリカリとして、ドテっと横になる。しばらくすると、玄関を開ける音がして、「ただいま、ラッキーちゃん。お留守番おりこうさんにしてた？おみやげにバナナを買って来たよ。ちょっと待っててね。洗濯物を干して来るから、あらフタがあかないわ。どうしたのかしら、お父さ～んちょっと来て、洗濯機がおかしいの。」
「ん。どれどれ、あれ、スイッチが入らない。コンセントははいってるし、ああ、線が切れてる。」あわてて、コンセントを抜くと、切れた線を見せる。「これじゃあだめだな。」と言いながら修理道具を持って来る。
「へんね。出かけるときは回ってたのに。」
「母さんかみ切ったあとがあるよ。ラッキーじゃないか？」
「でも出てこれないと思うけど、へんね。」
何だか大変な事になってるみたいだ。どうしようきっと叱られるだろうな。とラッキーはドキドキしながら様子をうかがっています。
「お父さんラッキーちゃんの家のドアー開いてるわよ。ラッキーちゃんが切ったのね。」いきなりひっぱりだされて、抱えられた。
「ああ叱られるんだ。」とつぶやくと目を閉じた。「大丈夫だった。ラッキーちゃん。」と上げたり下げたり、腹を見たりと、しながら
「大丈夫のようね。ああ良かった。感電しちゃうのよ。危ないところだった。ごめんね。」とお母さんはぽろりと涙を流した。
「直ったよ。せんたく物を出しておいたよ。
でも感電しなくて良かったね。ラッキーがしゃべれたら、何て言うだろう。良かったって、言うのかな。それとも…。とにかく、怪我がなくてよかったよ。またかじるといけないから、線用のカバー買ってくるよ。」とラッキーに頬ずりをして出て行ったお父さん。
なんだかうれしくなったラッキーでした。