俺漫５２

細かな設定と大胆な展開が上手いローファンタジー



『彼方から』（ひかわきょうこ/ＬａＬａ）


高校2年生の立木典子はある日の下校途中、無差別爆弾事件に巻き込まれ、その衝撃で異世界に飛ばされる。
樹海に落とされ、異形の虫の襲来に怯える彼女を救ったのは、渡りの戦士のイザークだった。
行きがかり上、彼と行動を共にすることになったノリコは、戸惑いながらも未知の言葉や風習を覚え、旅を続ける。
だがこの出会いは決して偶然ではなかった。世界のそこかしこで囁かれる、闇をもたらすと恐れられる「天上鬼」とそれを覚醒する「目覚め」降臨の噂。
やがてノリコは、自分こそが「目覚め」でイザークが「天上鬼」であることを知る。お互いの想いを信じた彼らは、運命に立ち向かっていく。



異世界に行っていきなり言葉が通じるといったファンタジーのお約束。それをせず、主人公が言葉を必死に習得するシーンを描いているなど細かい描写が上手く、読者をスッと世界に入り込ませている。

星雲賞（優れたＳＦ作品に贈られる賞）獲得も納得です。