海辺　（沖縄の思い出～出逢い）

それは暑い日
海辺の風景


目の前を一つの影がゆっくりと横切る
強烈な日差しにゆらゆらゆれながら
焼けすぎた砂にじいじい焦げながら
あたりに漂うのは潮のにおい
重く湿った空気がからだにまとわりつく
聞こえるのはかるい波の音


何時の間にか影は立ち止まり
僕に話しかける
僕の知らない
熱い風のこと
眩しい空のこと
鮮やかな星のこと

探しても見つからない　記憶
考えても形にならない　イメージ


浮んでくるのは　影
消えていくのも　影


いつしか
漁船は港に向かい
太陽は海に帰る

一瞬
時間は止まり
ものは重さを失う
まるで昔見た白黒テレビ


明と暗
光と影
やがて消えていく