【肉弾】

岡本喜八監督の「深刻な中にほっとする笑い」みたいなところが好き。

この肉弾は昨年ちょっと落ち気味でニートしてた時期が１ヶ月くらいあってｗそのときに動画サイトで見たのです。

元から戦争映画好き(邦画に限る）でも、見始めたら「こりゃ戦争映画じゃないや」ってことに気づき始めるのです。

人間魚雷で特攻に行く「はず」だった男の最後の夜の休暇に起きる人間ドラマ。淡い恋あり、兄弟愛あり。

街で見かけたセーラー服のかわいこちゃんが実は私娼だったのを知ってショックを受けつつ買いに行くけど、結局かわいこちゃんの純情可憐さに負けて話して終わり。

かわいこちゃんのいる町はなんとその日に空襲を受けて、かわいこちゃんは死んでしまうのでした。

即、終戦。それを真に受けずに一人怒りで海へ繰り出す主人公。
一向に敵にたどり着かず、最後はミイラに・・・みたいな。

悲惨なようなんだけど、なーんか「お涙頂戴」に終わらないところがたまらなく好きです。
若い頃の寺田農も好きだし。

戦時中のくせに思考がものすごーくノーマル。
「お国のために」とかじゃなく、最初すっごくやる気のなかった主人公が、かわいこちゃんの復讐に燃えるあたりがあぁ、普通の感覚で戦争を捉えてるなぁと思うのです。

「肉弾」というあまりに重々しく、深刻なタイトルとは裏腹で見やすい人間ドラマ。オススメですよ。