あとをつけられる

　バイトの終了は、夜中の1時。
　そっから、徒歩１５分で自宅に戻る。

　人気のない道を歩いて、地下道を通って。

　昨日、地下道をてくてくと歩いて帰っていたら、後ろからパタパタと私と同じリズムで歩いて着いてくる人がいた。

　「む！」

　なんか、後ろからついてこられんのいやや…

　ちょっと、ゆっくり歩いてみた。
（うち追い越してって…）

　とおもいながら。

　たら、後ろについてくる人は、やっぱり急に私とおんなじゆっくりな歩調に変わってぱったん。ぱったん。と着いてくる…

　（ひぃぃ！）

　ちょっと怖くなって、小走りになると、後ろの奴も小走りになった。そして…
　「くっ！」
　っと、小さく笑った…

　（ぎゃー！！怖い！！）

　私の中で、トップニュースになっている自分のことが頭の中を駆け巡った。

　こうゆうとき、たいてい、ここで、ドラマの主人公なんかはバタバタバタ！！と全力疾走して、それでも、男の脚力にかなわずひっ捕まえられる運命にある…

　そう！男はおおかみなのっよ♪って、誰かも歌ってたし！！　にげたら、追っかけられる!!

　おっし！！ここは、関西人として、笑いを取りつつ、狼をイヌに格下げさせるべく！

　つったか、たん！　つったか、たん！

　私は、スキップしてみた。

パタ…

　足おとはやんだ。

　それ以上、後ろをついてきていた人は追っかけてこなかった。