- 名前
- あやの
- 性別
- ♀
- 年齢
- 45歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- マイペースなOLです。一人でいると引きこもってしまうタイプなので一緒に遊んでくれる人...
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その後・・・
2008年08月08日 23:38
亡くなった彼の妹さんと会った後に、私は彼の自宅に招かれた。
「まさか、そんなに早く逝ってしまうと誰も思わなくて、まだ兄はお墓にはいっていないんです。」
車窓を眺めながら彼女は言った。
「兄にもう一度会ってあげてください。兄も待っているとおもいます。」
彼の家は駅から歩いて数分のところにある一戸建てだった。
あの人はここに住んで、通勤したり、私にあいに来てくれたりしたんだ。
私の知らないあの人の姿を思い浮かべた。
妹さんについて玄関を入る。
「お母さん、あやのさんが来てくれたよ。」
部屋の奥から初老の女性が出てきた。
あの人のお母さんだ。目元がよく似ている。
「わざわざ来ていただいて・・・。すみません。」
「あやのと申します。私こそ、きちんとした連絡先もしらずに、こんなことになってしまうとは・・・。」
言葉につまった。
「ほら、あやのさん。兄がまっていますよ。」
そういってすぐ隣にある和室のふすまを開けた。
仏壇。きれいに飾られた花。
白い箱に、いとしいあの人の笑顔。あのおっとりとしたやさしい笑顔。
「どうぞ。」
お母さんに促されるまま仏壇の前にすわった。
「たっくん・・・。」
あの人は、こんなに小さな箱に・・。
言葉にならない。
ただただ涙だけが頬をつたった。
どうしたらいいんだろう。
やっぱり、あの人はいない。いるけど・・・。
横に座っていたお母さんが立ち上がると、あの人の入った箱をすっともちあげた。
「触れてあげてください。あの子が最期に会いたかったのはあなただったはずなのにきづいてあげられなかったから。」
彼のすべてを手に取る。
あの人の命。
「たっくん・・・・。」
力いっぱい抱きしめて泣いた。
あなたはここにいたのね。
それから数ヵ月後、たっくんは出来上がったばかりのお墓にはいりました。高台にある風景のきれいな場所。
そこで彼は静かに眠っています。
墓誌にかかれた彼の名前は難しい戒名になってしまったけど、私の中ではいつまでも「たっくん」。
このデジログへのコメント
愛していた人が小さな箱に入る切なさ
・・・(T_T)
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