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殯(もがり)の森  つまらなさにもがり(き)ます

2008年06月03日 13:10

この映画を論じる前に、僕の側に問題があります。
僕が日ごろから認知症を扱っている職業に就いているということです。
これって実はこの映画を冷静に見るためには大きな障壁になります。
というのは、この映画の中で主人公はたぶん、介護福祉士の真千子(尾野真千子)と認知症の老人しげき(うだしげき)なのですが、車の脱輪を起こして近所の人に助けを呼ぼうと真千子がしげきに向かって「ここで待っていてね」って、しげきを一人取り残して去るのですが、こんな職員ありえません。動転しててもです!その他、判断ミスの連続で、この真千子って「おつむがとてつもなく弱いんじゃねーの?」って思わざるをえないストーリーです。そうまでして、森の中に二人を引っ張り込まなくちゃ成立しない物語なのでしょうか?
また、森の中に立つ福祉施設の風景から、街の風景が時々あらわれます。うーん、奈良っていっても、たとえば吉野の森と、あの風景の街の間には結構距離があるんだけどね。そんな山奥に施設を作らなくてはいけないほど、奈良県認知症老人に対する偏見が強いってを示唆しているのかな?じゃないと思うけど。(僕は奈良県の有名な病院で2年間働いていたことがあります)
 時々、遠くから茶畑を写すカメラはとても味わい深いものです。音声ははじめのうちは気に障るタイプのものですが、そのうちこの種の音声がなくなるので、最初だけ我慢しましょう。近景のカメラも「ドキュメンタリーにっぽん」みたいで、どうかなっていう感じです。
 あらすじはというと、認知症グループホームにいるしげきという老人と介護福祉士真千子のかかわりの物語です。33年前に妻と亡くしたしげきは今でも、妻の名前を呼び、妻がいないことにいらだっています。一方、真千子は幼い子供無くし、供養しつつ介護の仕事をしていますが、どうもあぶなっかしてく見ていられない働きぶり(これは僕の主観)です。
 そのしげきを助手席に乗せて真千子が車を運転してホームから町へと向かうのですが、畑の道で脱輪し、しかも上述のごとく、しげきは森の奥へと逃げ出してしまうのです。やっとしげきに追いつく真千子ですが、わざとらしく二人は帰り道を失い、雨に当りながら、ふたりで抱き合って(真千子がしげきの背中を抱いているのですが)夜をあかします。森の中で、大事にしていたリュックサックをあけるしげき。そこには、これまで毎年書かれていた日記帳(かな?)とオルゴールが・・。(って、認知症なのに日記が書けてしかもきちんと年代順に管理しているって、時間のorientationはばっちりってこと。なのに33年前の妻以外は理解できないって・・・?)
 湿った土を掘り、横たわるしげき、それを助ける真千子。一度は(救助の?)ヘリコプターの音が聞こえましたが、今は何も聞こえません。ただ森の音だけです。
 ”殯(敬う人の死を惜しみ、しのぶ時間・場所の意)の森”
 というわけで、ごめんなさい、僕はこの映画に点数をつけるなら10点中2,3点です。
 時々写る風景のショットだけが救いの凡映画と思いました。

このデジログへのコメント

  • BB 2008年06月03日 21:31

    ケアマネやってる母が観たい!って言ってますが…
    (^_^;)
    どんな感想持つんだろ…

  • tarashi 2008年06月04日 02:35

    BBさん。きっと、「このようなホームにお金をかけるな」という意見でしょう。しげきさんは要支援2相当。

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