美しいひとたち

それは乗り換え駅での光景でした。

多くの人々が乗り降りするホームからエレベーターの雑踏のなかで私の目はある二人にとまりました。

目の不自由な女性　　　年齢は私と同じぐらいでしょうか。長い髪を後ろでまとめ、きれいな薄化粧をした美しい人　　とそれを階段の上までエスコートする年配の駅員さん。二人は腕を組んで階段を一段一段上がっていきます。

これがはじめてではないのでしょうか？
二人はなれたようにおしゃべりをしながら上っていきます。


女性も笑顔。
駅員さんも笑顔。


女性には見えていないと思われる駅員さんのあたたかな笑顔を見ているうちに私は涙がこぼれた。


どこにでもある光景かもしれないですが、涙がこぼれました。


二人は一番端のホームへ向かうのか、駅の雑踏にきえていきましたが、私は二人が見えなくなるまでずっとみていました。