夜のドライブ

昔々あるところに音楽と映画をこよなく愛する青年がおりました

彼には、同じく音楽と映画を愛する彼女がいたのですが、彼女の両親は魔女と悪魔だったのです

彼は彼女を両親の魔の手から救うために、毎夜家から連れ出して魔を払おうと努力していました

少しでも長く彼と一緒にいたい彼女は、明け方家が近付くと憂鬱そうに「もう少し一緒にいたい」と彼に訴えかけます
そして夜毎に少しだけ夜のドライブを楽しむようになりました

彼女はいつも一緒にいるときには彼と手を繋いでいたかったので、彼の車はマニュアルからオートマチックに変わりました

でも、ある夜彼女の両親は夜彼女が家にいないことに気付きます

そして彼女はついに魔の手に落ちてしまいました


彼は途方にくれ、夜毎に街中を車でさまよい、彼女の姿を探し続けました
しかし、次に彼が彼女にあったとき、彼女は彼のことを忘れ去ってしまっていたのです

悪魔の手で記憶を操作され、彼との時間を残らず消し去られた彼女には、彼の想いに答えることはありませんでした

別れ際に握った彼女の手は、あのときのぬくもりを残したままだったのに・・・


たそがれ時にカメラを車窓から外に向けて写真を撮ると、こんな画像が映ります

何枚も撮っていると、当時の彼女の魂が写らないかなぁって・・・そんな気がして、何度も何度も毎日シャッターを切り続けたバカがいたそうです