- 名前
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- もう海外在住29年、定年もそろそろ始まり、人生のソフト・ランディング、心に浮かぶこと...
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De Pianoman
2008年03月28日 01:12
日本では誰も読まないだろうということを考慮して粗筋を記す。
自分の読書メモであり、粗筋の間に沢山詰まった血肉にこの人の文芸があるように思う。 第一章での起爆力がそそった。 この地方に嘗て住んだ経験から村人の様子が目の前に浮かぶようである。 多分舞台を1990年代前後に設定しているのだろうが村と都市、特に日頃アムステルダムに繁く出かけるものには両方に住んだ経験からして主人公の大都市経験が新鮮である。
枚数の制限があるのだろうがこの3倍ぐらいの量であれば女教師の内面、父の言動、主人公のジェンダー、精神病院での医師達の分析、主人公の音楽に対する考えなどが深められたのではないかと想像する。北部の州、何もない農村には主人公のような青年がまだまだいそうであるし、現在都市部で問題になっていて日常メディアをにぎわす世界的な青少年問題にここでは一切触れられていないところにこの老作家のスタンスが感じられる。
題名; De Pianoman
著者; Bernlef
オランダ語 89頁 小説
2008年
ISBN 978 90596 5062 6
表紙; 「農家」 Willem van Althuis、 1978
1 11p 主人公の誕生と両親のこと、言葉少ない昔の日本の東北の農家に比べられる生活、村の様子が一クラス20名足らずの村の学校に都市部から越してきた女教師とのふれあいでそうでなくても口の重い地方の、特別口数の少ない主人公がこの教師とのふれあいでピアノが言語となりえたいきさつ、高校を卒業してすぐ近くの自転車のタイヤ工場で働き、ある日突然有り金の500ユーロほどをポケットに家出、アムステルダムへ
2 5p アムステルダムのダム広場でイギリス人の体を緑色か銀色に塗って日がなストリートパーフォーマーとして放浪する女性と知り合いユースホステルでアメリカ人男性二人の車に同乗してパリへ
3 3p 教師が家出の噂を聞き両親のところへ、ところが両親はとりあわず警察へ行くが警察でも両親の捜索願が出さなければ駄目だと突っ放される
4 12p 12p パリへ行く途中のガソリンスタンドでの性的初体験。そこで自分のゲイ素質を確認する。 ストリートパーフォーマーは姉的存在
5 3p 女教師の村での教師生活に加えて町の教育学コースで知り合った男との関係
6 4p 主人公、パリで勝手知ったるストリートパーフォーマーの様子に同行し、言われるままに金を使い彼女に付いてカレーからドーバーに向かうが税関を通過して出たとたん有り金、パスポート、一切合財を持ち去られたことに気付く。
7 11p ドーバーの大型トラック駐車場でヒッチハイクし北の町に行くからと運転手に載せてもらいその運転手の最終地で下ろされる。 遠浅の海岸に繋留されているが今は引き潮で歩いていける船に一泊、翌朝海岸を歩いているときに警察に保護される
8 4p 警察の聴取があるが主人公のことについては本人が一切反応しないため情報が得られず何か精神の異常、もしくは何らかのトラウマのショック状態なのだろうと診断され精神病院へ、そこで約4週間滞在するも本人が唯一興味を持ったものがピアノであったためDe Pianomanと呼ばれる
9 3p 精神病院も余分な患者を持ちかねるものの警察に返しても警察の管轄ではないと押し付け合うのだが、そこでの一人の看護婦が音楽が鍵になる、というコメントがこの本の結節点だろうと推測する。 地元の新聞でこのことが記事になる。
10 4p ある日、地元の新聞に嘗て自分の村の卒業生が今、イギリスの施設にいて謎の人物のピアノマンであることを校長が読み、すぐさま女教師の下へ、
11 6p 女教師精神病棟に赴き主人公を確認、会話がある。 ヒースローに向かう車内で父の死を知らされる
12 4p 初めての飛行機、自宅に戻る前に女教師の家で同居する男友達に会いストリートパーフォーマーに続いて裏切りを味わう
13 1p 工場では興味本位な同僚に言葉少なに接し日常に戻る。 父の溺れ死んだ堤から水面を眺める
14 1p 母に徐々に失踪中のことを話し始め、この村で母親を養っていく、語ることの救いを無意識に悟り始める
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