【お題日記】気持ちよかったキス

思えばもうかれこれ30年ほど前になる
ツーリング一人旅の北海道の小さな町
キャンプ場とは名ばかりの単なる広場
真夏でも小雨で肌寒さもある涼しい夜
食後にコーヒー淹れてたら前を通った
同じ旅ライダーなので化粧っ気は皆無
美人というより可愛げある感じで陽気
軽く挨拶して暖かいコーヒーに誘った
走った場所などの情報交換していたら
他愛のない冗談のツボが完全一致して
話も弾み息もできないくらい抱腹絶倒
街灯一つ暗く静かな空に二人の笑い声
僕の肩にもたれて笑い転げてた彼女は
ふと息をついて膝上に倒れこんできた
見下ろして目が合って１秒呼吸の合間
言葉なくお互いの思いが不思議に通じ
少しだけ頭を寄せ合いなぜかキスした
その後何事もなく笑い話がまた続いて
そのままそれぞれのテントに別れ眠り
翌朝、彼女のテント前に缶コーヒーを
１つ置いて、僕は先にバイクに跨った
今思えば若気のええかっこしいが先行
名前もMailも交換せず別れそれっきり
カワサキのネイキッドに乗ってた彼女
思い出すと今と違った将来を想像する