〈闇夜の想い〉

遠い瞳で夜空を見上げる彼の目には
星も、月も、ましてや暗い空に浮かぶ雲も
映ってはいない…

彼の瞳の中にあるのは
ぼんやりと浮かぶ
彼女の後ろ姿のシルエット…

呼べど叫べど
振り向きはしない
真っ暗な空に浮かんだ影

輪郭すら朧気な
暗闇に浮かぶ幻影…

手を伸ばすと
届きそうで届かない
駆け寄ろうとしても
追いつかない
存在しているような…いないような…

そんな曖昧な距離感が
彼を惑わせる…

それでも彼は
待ち続けるのだろう…

闇の中のシルエットが
いつか穏やかな光を浴びて
振り返る日がくる事を

彼の瞳に
彼女の笑顔が
くっきりと焼き付き
彼女の手をとって
抱きしめる…
その日がくる事を…

いつの日にか
きっと…