AM９：３０・・・(￣∇+￣)v

神奈川県下のH市の海側にある古い病院
AM９：３０病院の透析室ではMEや看護師達が慌ただしく準備に追われている

俺は20床あるベットの丁度真ん中あたりに横たわり透析の準備を待っていた。
もう10分もすれば機械が繋がり俺の血液を浄化する治療が4時間始まるはずだ。

隣のベットはまだ空いていた、しばらくすると

車椅子に載せられた７０代後半と思しき老人・・・
看護助手の女性に車椅子を押されて隣のベットへ
自分で移動が出来ないのか、その女性に抱きかかられるようにしてベットに移動する・・・
若い看護助手に抱きかかえられた爺さんはなんだか嬉しそうな表情で
「痛てて・・」と声を上げたが越えに悲壮感は無かった。
若い看護助手の香りを感じているのか爺さんの鼻腔が少し広がったように見えた。

前かがみで老人を飽き抱える看護助手のナース服の突き出して無防備なヒップラインから
薄っすら透けるラインをぼんやり眺めながら少し熱いものを感じ・・・
その背中から丸いヒップラインの稜線に女性を感じ思わず気恥ずかしくなり目を反らした。

俺は目線をその爺さんに移した
爺さんにも右足の膝から下が無かった、左にもつま先には包帯が巻いてあるようだ・・。

俺は少し悪い予感がした、こういう時の予感は大抵当たる・・

俺には知っての通り両足の膝から下が無い、幸い義足を着けて自立歩行は出来るのだが
症状としては重篤な方だと思う・・・

まぁこの生活も２年も続けていれば世間の目もそんなに気にならなくもんだ。
ただどーしても慣れないものがある・・

ここの老人たち目がそうだ、ここは基本的には老人専門病院
20床のベットがあり入院患者が半分、残りは通院治療してる人達が治療を行っている。
そのうち5名程が下肢欠損どちらかの足が切断されている老人が居る。
基本的に車椅子移動してる老人は入院患者と言う事になる。

この車椅子の老人達の目だ。自分は片方で良かったと安堵する目線、
自分もいずれこうなるのかという畏怖を含めた目線
自分の歩くための参考にするための熱視線、

さっきから隣のベットで横たわりながら横目でこちらを見ている爺さんの視線もそうだ
直視するわけでなくあくまで横目でしかしちゃんと凝視している
いわゆるのぞき見の状態だ。

俺は少々苛立ちを感じ、同時に少しいたずら心が働いて
その爺さんの方にわざと両足の切断部分を投げ出して爺さんの視界に入るように2～3回
上下に動かして見せた
ゴムライナーによる蒸れの痒みのせいだが、掻き壊した膝頭あたりの爪痕から
小さな血の吹き出しがぽつぽつと珠に成りゆっくり流れる様を爺さんに見えるように上下した。

効果はてき面だった、爺さんは少し目を見開いて同時にその視線を自分の包帯を巻かれた
左足のつま先をじっと凝視し、ふうとため息をついた。

が、効きすぎた、薬が効きすぎたのだ。
こうなると一番面倒な展開に成る、俺は覚悟した

爺さんが俺の網に視線を再度移しながら、「両足？」・・・きた～！

「ええ」俺の返事を聞く前にすでに、
自分の切断された右足と包帯に巻かれた左のつま先を見せながら
「今左足の指が壊疽起こしてるんですわ、何とか指で抑えたいところなんですが・・・」
「両足って大変ですよね？」「どこの病院？」矢継ぎ早にはやし立て始めた

こうなると決まって、「早めに治療すれば大丈夫ですよ」という慰めの言葉と
自分が両足切断から自分で歩くまでのリハビリ過程を話すことになる。
実際個人差があるので自分と同じ事をやったからと言って歩ける確証はない。
なにより自分の切断までの経緯など本当は思い出したくもない。
俺は碧碧としながら、切断に及ぶ経緯と施術した病院、リハビリ過程を延々と話す事となってしまった。

俺は著しく後悔した、なによりも俺はこの爺さんと顔見知りに成ってしまった・・
これから挨拶だけでなく世間話にも付き合わされる羽目に成る。

案の定翌日より爺さんは俺の顔を見るなり「おー」と言いながら右手を挙げるようになってしまった。
なにより周りの車椅子の老人たちから「お知り合いなの？」

俺は伏し目がちに会釈をしてその場を立ち去ったのだが、
正直街の子供の好奇の目の方が何倍もマシである。その場限りの視線なのだから・・・



頼む！勘弁してくれ！俺はただ静かに透析出来ればそれだけでいいんだ・・・

あなた達の歩行訓練の目標にも、希望にもなりたくないんだ・・・

頼む！ほっといてくれ！心の底から叫んでいた・・心の中で・・・

それよりちゃんとマスク着けろよ！！


と。。いう俺の日常なのでした・・・ちゃんちゃん！(*￣m￣)

裏でも無く・・・読み物でも無く・・・失礼しましたぁ～ε=ε=ε=ε=┏(；￣▽￣)┛