- 名前
- さき(..)
- 性別
- ♀
- 年齢
- 28歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- 仕事がとにかく辛くて、ストレス解消のためにこの掲示板にお相手を探しにきました♡ 前付...
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ハイマートロージヒカイト
2017年10月01日 19:22
“吸ひさしの煙草で北を指すときの 北暗ければ望郷ならず”
”ふるさとの訛なくせし友といて モカ珈琲はかくまで苦し”
「ハイマートロージヒカイト/故郷喪失」の感覚を、寺山修司はまさしく黒くうねる珈琲のような言葉で歌い上げる。第二歌集『血と麦』で汽車、血管、海、曇天の「行き場のない」咆哮を背負い、脱出の情熱を燃やす青年を描いた彼にとっても、故郷の歪む重力は逃れたき地獄の総天然色であり、また逃れがたき母の情念のほの暗い影であった。「故郷喪失」とは、この“逃れたき”と”逃れがたき”とのあいだを不規則に揺れ動く柱時計の振り子の先が膚をかすめるときの、その痛みにほかならない。
”売りにゆく柱時計がふいに鳴る 横抱きにして枯野ゆくとき”
私もまた、大学への進学を期に東京へと出てきた人間の一人であるが、「故郷喪失」の感覚はほとんどない。代わりに別の感覚がある‐われわれには故郷がない、われわれは失うことすらできない。
雨のばらつく中央線快速荻窪駅ホームで列車を待っていると、自分が生まれた時からずっとこの土地にいたような気持ちにふと襲われる瞬間がある。最初はとてもおそろしく、実家の住所と中学時代の友達の名前を頬の中でぶつぶつと唱えて自らの故郷を思い出そうとして、何も思い出せないことに気づいて、慄然としたものだった。
しかしここ最近は、それでいいやと思い始めた。覚えていたいことはいくつかあったような気がするが、忘れられないことはなにもなかったのだから。
遅れて到着した橙色の列車に乗り込み、私はむこうをぼうと見つめる。眠れる人々。曇り空。窓の病める水滴。そして通り過ぎていくよく似た家々。この列車の行き先表示が、いつか「東京」から「故郷」に切り替わる日はあるのだろうか?
“どっかへ走って ゆく汽車の
75セント ぶんの切符をください ね
どっかへ走って ゆく汽車の
75セントぶんの
切符をください ってんだ
どこへいくか なんて
知っちゃいねえ
ただもう こっちから はなれていくんだ”
ラングストン・ヒューズ『75セントのブルース』
このウラログへのコメント
ヒューズの詩、いいですね。
訳もいいですね。木島始でしたっけね?
ひげひげさん
ひげひげさんの知識量には敬服の念を禁じえません。まさしく木島始、彼の名訳です。
ヒューズの奇妙な明るさを、これだけ肉声的に日本語に写し取ったのは、まさしく彼の才能のなせる業かと思います。
私ほ自分を少なからず情緒的で知識人だと思っていますが、遥かに及ばないインテリジェンスな方の様なので退散しま~す。
> 無重力アロマエステ整体神の手さん
いえいえそんな大したものじゃありません!(*_*)
ただの21歳の頭の悪い女ですので、ぜひ仲良くしてください!
カントリーウェスタンにも同じようなのが。
two ten, six ten, ten forty four
田舎の駅でうらぶれた旅行者が時間を聞くと
駅員のぞんざいな返事がぼそっとこれ。
> RYUさん
旅に出た人間が、それに何を求めたのか、そして何を得られたのか。故郷から逃れられたとして、それで、その次は?という問いが頭に浮かんできました。ありがたいコメントです。
バブル期に一世風靡した歌手、鈴木雅之の歌に「ミッドナイトトラベラー」と「ここに地終わって海始まる」というちょっと雰囲気の違うのがあります。哀愁列車とその行き先のイメージかな。
東京という、大都会のマジックなのかも知れませんね。俺も都内と横浜に居た時は、さも産まれ故郷のように振る舞っていました。
ふと、実家を思い出しても幼少期の事より
もつい最近の出来事ばかり。見つめ直せねば
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