趣味は読書、吝嗇？

父は7人兄弟妹の2番目で、すぐ下の弟は、親戚でもケチで有名だった。
父の兄弟は九州出身なのに、何故か関東までは出て来ないで、静岡県に固まっていた。
ある年の夏休み、多分中学生だった僕は、両親と共に静岡の伯父の家に遊びに行き、その時従兄弟と一緒に、ケチと言われている叔父の家も訪れた。
その時は、ちようど昼時で、叔父が「焼き飯を食って行け」と勧めるので、ご馳走になることにしたのだが、その焼き飯が叔父の手作りで、ご飯を焼いただけで具も何も入っていない本当の焼き飯なのである。
せっかく出されたのだから、従兄弟と僕は食べたけれど、正直美味くはなかった。
昔はこれが親戚の間で、三男のケチエピソードとして、語られていたのだが、最近僕は少し考えを変えた。
叔父は叔父なりに、精一杯もてなそうとしたのではないか。本当にケチならば、昼飯など出さないだろう。あるいは、純粋な焼き飯が、叔父の家では定番だったのかもしれない。
ともかく、本当のケチではないように思う。そこには、ある種のギャグに近いユーモアがあると、今更ながら思うのである。