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趣味は読書、黎明

2016年10月20日 02:33

幼い頃は、神奈川県鉄道も通っていない小さな町で育った。
周囲は田畑、林、まだ未舗装の道路。買い物をするのに、家を出て、左右どちらへ行っても、買い物の出来る商店までは、徒歩で片道30分くらいかかったので、母が夕飯の買い物に出ると、1時間半くらいは帰って来なかった。
そんな所だから、本屋など近くには無く、一番近い書店は、15分くらい歩いて路線バスに乗り、更に15分乗った最寄り駅の前に、ほんの小さな書店があるきりだった。
その書店では、小学館学習雑誌を毎月配達してもらうくらい。
日曜などに、家族で繁華街に出かけ、たまたま買ってもらった数冊のおとぎ話の本が唯一の書籍
小学校の低学年では、週に一度、読書の授業があったように思う。
図書室で好きな本を選んで読むのだ。
後年、趣味が読書になるのだけれど、当時から、あまり本を借りることに興味がなかったようで、小学校の6年間でも、僅かに二冊くらいしか借りた記憶がない。一冊は確かジュールヴェルヌだったと思うが「地底旅行」とあとは「シャーロックホームズ」のどれか。
「シャーロックホームズ」の方は、貸し出し期間を忘れていて、間に合わすのに父に怒られながら、夜更かしをして読んだ記憶がある。
僕の住んでいた町は、どんどん開発され、林や森は切り開かれ、宅地になって行った。小学校5年生の時に、放課後校庭で遊んでいると、NHKの人形劇「新・八犬伝」の話題になり、まだ見たことのなかった僕は、早速その日から見始めた。とても、面白かったので、初めて自分の意志で、母にねだったのだとはおもうが、原作を買ってもらった。
それまでホームズルパン、少年探偵団くらいしか知らなかった僕が、初めてストーリーの面白さを知った作品である。
未だに、その記憶は鮮明で、まだ果たしてはいないのだが、岩波文庫の「南総里見八犬伝」は是非手に入れたい。(読了するのは大変だが)
河出文庫で、白井喬二の訳で現代語訳が出ているので、まずはそちらからだろう。
この世に、面白い作品は沢山あり、これからも産み出され続けるのだが、僕が手に出来るのは、ほんの一握りである。
映画でも、音楽でも、全てを経験することは出来ないし、それに意味はない。
せいぜい、自分にあった面白い本を、読めるだけ読もう。

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