信じる、という事。

結局人間なんて論理とか科学とか口で入っても自分が信じたいものを信じるのですよ。
星占いとかそうだし、おみくじもそう。宗教なんてのも言わずもがな。
ちょっとヒネた考えを持ってる人なら多くの人がその結論に至るのですが、そんな人達でも見落としてることが一つ。「そしてそれはもれなく自分のことも含まれる」

そうなんですよ、斜に構えて偉そうにしている自分だって結局は自分が信じたいものを信じてるだけなんですよ。
まあ、こんなところでバカな事を言っていてもメールが届くんです。見ると写真はとても綺麗なお嬢さん。端正な顔立ちで化粧も艶やか、歳もまだ若い。そんな彼女が言うんです。「一目であなたの事が気に入りました。会ってエッチな事がしてみたいです」
ちょっと待て。あなた程の器量良しなら引く手数多でしょうよ。寄ってくるのを追い払うのでも忙しいだろうにこんな若くも無く金もなさそうな冴えないおっさんをあえて口説く必要性はないじゃないですか。
それにオレでさえ見たこともない人といきなり繋がりたいとは思いませんよ。なんすか、その男以上に男らしい獰猛性は。
おかしい、絶対におかしい。

そうは思うんだけど、一方では返信をしてみたくなる自分がいるのを発見して、うわうわうわってなる。
すごいな、すごいな、オレ。やっぱオレも信じたいものを信じたいんだ。
やっぱ見目麗しい女性から一方的に想いを寄せられるという甘美な夢を捨てきれないんだ。だから信じたいんだ。それがどんなに荒唐無稽だったとしても。