- 名前
- トラ吉
- 性別
- ♂
- 年齢
- 62歳
- 住所
- 愛知
- 自己紹介
- デカ珍で泣く 遅漏で泣く 日本人平均値 だと思う~ 只のスケベなおやじ系 エッチの喘...
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鍵をなくした夜、セックスなしで側にいてくれるオトコ何人いる?
2014年06月13日 23:18
コピペ
オネェとかその子に興味ないとかか?夫婦の成れの果て?ナハハ
そんな女性も 異性友欲しいかも~笑
何も私は、白いおうちでレースを編むのよ的な生活が羨ましくてしょうがない、というほどではなくて、基本的には自由気ままなシングルガール生活をわりと満喫しているクチなんだけど、時々どうしようもなく、なぜあの時のプロポーズ断っちゃったんだろう、と泣きたくなる時があって、それは鍵をなくした夜に訪れるのである。先日、仕事が奇跡的に早く片付いたので、一度帰って着替え、天現寺の近くでお洒落なウェブデザイン事務所をやっているお洒落な男友達を誘ってお洒落な表参道のお洒落なカフェでお洒落OLらしく有機野菜プレートとケーキとか食べて、仕事に戻るお洒落な友人を見送り、飲みに行く時間まで余裕もあったし、梅雨入り前日の気持ちの良い天気だったので、お洒落な表参道を原宿駅まで歩いてみたら、竹下口の改札を入ってすぐのトイレにキーケース(現在も絶賛紛失中です。ディオールのキルティングのキーケースを見たら至急ご連絡を)を置き忘れてしまった。山手線が新宿に止まったところでそれに気づいて、すぐに引き返したけれども、どこかの心優しい人が、悪い人に拾われて悪用されちゃまずいだろうという親切心からそっとバッグに潜ませてくれたのか、トイレにも改札の事務所にも私の鍵はない。
とにかく原宿駅のコンコースにて私は、改札を出るためのSuica機能付きJALカードも、身分を保証する免許証も、自分の家にはいるための鍵もない女になってしまった。問題は、私が慣れないお洒落感と健康志向を発揮して、精力のつかなそうな食事をした上に原宿まで歩いたので棚に置いたキーケースをとる元気も残っていなかったとか、生理だったから飲みに行く前にタンポン替えとこうかなって思ってたとか、そもそも鍵とJALカードと免許証を一緒のケースに入れているとか、久しぶりに昔好きだった男友達とカフェデートとかして浮足立ってたとか、そういうことでは多分ない。私がどうやってこの鍵のない夜をやり過ごすか、ということである。
どうでもいいけれども、私が抱える強いフェティシズムのうちの1つに、制服を着ている男を前にするとどうにも従順になってしまう、というのがある(ちなみにもう1つはお兄ちゃん、つまり妹や弟がいる男に弱かったりするのだけど、先を急ぐのでその話はまた今度)。イケメンだけどいまいち仕切りの悪い若い駅員さんと、オジサンだけど世話好きそうな駅員さん2人を前に、うーん例えば今日、「鍵がないならうち泊まれよ」ってこの2人に言われたらどっちがいいかな、とかいうことをちらっと思って、当然どちらにも誘われず、でも優しく慰めてもらいながら、言われるがままにカード会社に電話してカードの機能を止め、駅の落し物登録を済ませた私は、名残惜しい気持ちで改札を出て、原宿警察まで文字通りふらふらと歩きながら、今夜行くべきところを考えていた。
時刻はすでに21時。鍵業者を呼ぶことはできるが、深夜料金もかかるし、なんとなくまだ誰かに拾われてキーケースが戻ってくる望みを捨てきれなくて、鍵交換は夜が明けてからするつもりだった。この時間であれば鎌倉の実家に帰る、という手もある。しかし明日仕事の前に鍵交換しなくちゃいけなくて、飲みに行く予定もあって、一回帰ったから会社行く上品服脱いでスラッティーな安い服着てて、生理で落ち込んでて、とてもうちのママ(元資生堂のバリキャリ&現役でバリバリの児童文学者。汚いものとだらしないものがこの世に存在すること自体を不思議に思うミセス完璧主義)の、「ワタシがあんたの歳の頃にはすでにマンション買えるくらいの貯金はあったし運命の人と結婚してた」説教を聞く気にはなれず。
一番現実的で、誰も傷つけず自分も傷つかない手立てとしては、私の部屋の鍵を持っている母親以外の人物に連絡をとって、とにかく鍵を受け取りにいく、ということだった。鍵をもっている人物はたったの2人。1人は私の東京の姉であるマコ姉さん。何のしがらみもなく、鍵をなくした同情でラーメンでも奢ってくれそうな勢いである。もう1人は半年前まで恋仲だったオトコ、Rくん。こちらはしがらみしかない。私は竹下通りでロリータ・ファッションの白人女性にぶつかられながら、マコ姉さんに電話をかけた。3コールで出てくれるあたり、さすがである。
「妹よ、どうした?」
「マコ姉さん、今どこにいますか? 実は」
「なんか最近腰が痛くてさー、知り合いに薦められて、今、鶴巻温泉に来てるのよ」
チーン。でも私はこういう女なのよ。基本的に人生の通常運転時は運がそれなりにいいほうで、まあそうじゃなかったら今まともに生きちゃいないと思うんですが、ここぞという時に奇跡的なタイミングの悪さを発揮するのである。日本舞踊の発表会の日に初潮がきたり。生まれて初めて浮気した夜に、彼氏がインフルエンザで苦しんでいたことを後で知ったり。去年は誕生日の夜中に会議が入っちゃったし。
仕方ないので、しがらみしかないRくんにも一応電話をかけてみる。「お客様の……」というauのオネエサンの乾いた声。着信拒否されてる。もしくは番号変えてる! 私が何をしたっていうの? 彼よりもちょっと好きな人ができて、電話とかデートとか冷たくなって、3回連続約束キャンセルした以外は何もしてないじゃない。別にその新しい好きな人とは、その後どうにもなっていないわよ。
こうして自分の部屋の鍵を手に入れる望みが絶たれたところで、私は原宿警察に到着した。すでに通常業務を終えた警察署の1階窓口には、疲れた顔の刑事さんたちが3人。誰も制服を着ていないことに少しがっかりして、免許証の紛失届などを書きながら、「あーあ今日どうしようかな、鍵なかったらおうち入れない」と30歳過ぎてから日頃滅多に発揮しないけど、実は今でも割りと得意な甘え声を出してみたところ、「若いお巡りさんたちいっぱいいるよーガハハハ」と、向こうが思っている以上にこちらは切実に受け止めてしまうことを軽く言われ、「じゃあ紹介してくださいよー。独身だからこういうことになるんですよね、もう今年31歳なのに!」と言ったら、「ええ? ! 31歳なの? !」と、悪い気はしない驚き方をされ、でも、「なあなあこの子、31歳には見えないよな?」「おーい、お前の5歳も上なんだって、このオネエサン!」とか大声でその場にいなかったお巡りさんまで呼び出されて逆に恥ずかしくなり、「31歳かー、それならもうちょっとちゃんとしないとね」と、最終的には殺意しか残らない挨拶をされて、警察官と婚約することなく私は警察署を後にした。
肉体的価値がほぼゼロの31歳であっても、そもそも男性人口の方が多い現代日本であるが故、ヤるんなら泊めてくれるであろうオトコは何人か思いついた。しかし、当の私は生理3日目、生理中のセックスと寒い朝の仕事のアポイントをこよなく憎む素敵OLである。飲みに行くために飛び乗ったタクシーの中で、私は人生最愛の元カレに電話をかけた。何が最愛って、いろいろあるけど、何よりまだ独身なところである。そしてお家が私の家からタクシーワンメーターなところでもある。こんな時、女がどうしても頼りがちなのは、わりともめずに別れた元カレ群である。何度も泊まったことのある部屋だったりするし、運が良ければ洗面所の棚に私のコンタクトレンズの1つや2つとってあるし、セックスをするかしないかで気をもむこともないし、私が喜ぶ方法で慰めてくれる。ただし、31歳にもなると元カレ群はかなりの打率で結婚している。当日いきなりのお泊りは、さすがに頼みにくい。独身広尾在住の元カレは「別にいいよー、おいでよ」と優しい声。ついに私は今夜、安心して眠れる場所を確保した。しかもこの元カレ、もとは大手デベロッパーのエリートくんであったが、私と別れた直後に独立して、今や社員20人の会社の経営者、運のいいことにお金持ちである。シクシクと泣きつけば、鍵の交換代金とか出してくれる可能性大?
さて、ここで思い悩まないタイプの女であれば、多分私は今頃商社か広告代理店のそれなりの高学歴サラリーマンと結婚している。私は何かというとすでに別れて4年たつこの元カレに頼りすぎなのである。東日本大震災の日には迎えに来てもらい、引っ越しの際には仲介業者を紹介してもらい、仕事で落ち込んで1人で眠れない日には一緒に寝てもらった。しかも、聞けばこの元カレ、現在26歳のかわいこちゃんとお付き合いを始めたばかりという。割と深く考えずにうかつなことをするところが彼のいいところでもあり、そんなところが嫌いで別れたのだけど、でも26歳かわいこちゃんの気持ちを思うと、うかつな彼に歯止めをかけるのは、いろんな意味でオネエサンである私ではないだろうか。嫌ですよね、付き合って間もないラブラブ彼氏が、とうのたった酒臭い元カノを家に泊めたりしたら。
混みあった飲み屋の一角で、私は手持ち無沙汰に携帯をいじりながら、セックスなしのオトコ友達を物色していた。例えばリョウくん(仮名)。イベント・オーガナイザーの33歳。LINEで連絡したところ、「アゲハこいよ! 盛り上がってるよ!」とテンションの高いお返事。今からクラブでどの尻をふって踊る元気が残っているというのだ。変わってケンジ(本名)。大学の友人で、高円寺のギャラリー兼バーのオーナー店長。「今日じゃなくて明日じゃだめ?」。いや、今日じゃなきゃだめ! 話聞いてないだろ。お次はリンタロウ(本名)。某キー局のドラマプロデューサー。返事なし。さくさくと次のイシダくん(仮名)。仲の良い報道記者。返事なし。シュン(仮名)。昔は毎日のようにカラオケとかダーツして遊んだ電通マン。「おー泊めてあげたいけど今出張で福岡!」
こういう時に、そもそも飲みに行くのをやめて、ペニンシュラとかリッツに部屋をとって、朝ブッフェでコーヒーすすりながらマンションの管理会社に電話をかけるくらいの優雅さとたくましさがあれば、それを立派なシングルレディと呼ぶとも思う。でもキーケースを落として無力感しかない私は、見知らぬ人でもかまわないから震えるこの肩どうぞ抱きしめて欲しいの嵐を起こしてすべてを壊すの、と静香ダンスを踊ってしまう気分だったのだ。
結局男友達に呑気かつ邪険に扱われ、歌舞伎町で飲んでいるにもかかわらずホスト様たちにも特に誘われず、私は新宿は区役所通りをものすごい勢いで(この間、新宿で20代の女3人が31歳女性を鉄パイプで殴り殺したという事件があった後、歩くのが怖い弱気な私。ピンポイントの31歳だし)「おばさん無害だから頼むから鉄パイプで殴らないで!」と念じながら爆進してタクシーに飛び乗り、広尾の元カレの家に向かい、「ごめんね、迷惑料、身体で払わないとだめかしら」と酔っ払ったついでにセクシーポーズを決めたところ、「結構です」と2秒で返され、ことなきをえたのです。寝た後の仏のような彼の顔を拝みながら「26歳かわいこちゃん、ごめんね、でもこの人、私の肉体は全く欲さないから安心して! そして、悪いけどトイレに置いてあるタンポン1個もらうね!」と唱えて、彼の家にあった、キャバ嬢時代の私のドレスとか久しぶりに着て、ファスナー閉まんないよ! おい! とか自分でつっこんで、リビングのソファで安心して夜を明かしたのである。
翌朝、無事に鍵交換を終えて、私が自分の城を取り戻したあたりで、私の携帯がLINEやメールで不快にブルブルしだした。「昨日連絡気付かなくてごめん、今度飲みに行こうよ」「無事お家はいれたー?」「連絡くれてたっしょ? 元気ー?」「久し振り! 鍵なくしたの? 相変わらずあほやな」。言っておくけど、あの夜、一緒にいてくれなかったオトコたちが死んでも、ワタシ、絶対お葬式行かないからっ!
鈴木 涼美
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