趣味は読書、番外篇

稲垣足穂の「弥勒」の中に新聞を読まない足穂を、知人が賞賛しているのを読んで、当時足穂に夢中だった僕は足穂の真似をして、20年くらいまともに新聞を読まない。
金曜日は、休日で病院に行き、薬局で薬を貰うほんの少しの待ち時間に、マガジンラックの新聞を拾い読み。
ニュースは、テレビのニュース番組やワイドショーで知るのが常で、唯一の方法だったが、久びさに新聞を読んで、情報量の多さとその保存性に、今更魅力を覚え、新聞を毎日買うことにした。
それは、社会と繋がっているという自己満足、昔持っていた人並みであるという中流意識の復活、家族がいた頃の暮らしを思い出すこと、ただ新聞を読むという習慣が、僕に多くのものをもたらした。
特に、各出版社の新刊の広告。
時代も資質も違うのに、作家の真似などして、とても損をしていた。全く浅薄だ。